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STORY & CHARACTERS(物語とキャラクターの舞台裏) 創作の道具箱と知恵(ツール・ノウハウ・備忘録)

AI絵本制作で気づいた「完成させすぎない」技術とイラスト修正論

最終候補画像3

https://frumosimage.com

こんにちは!ふるもーす(@frumosart)です!

今回は、三冊目の絵本『ビーバーとビーすけの竜宮城大作戦』の制作ログから、Scene6「竜宮城への連行」のイラストをAIでリマスターした制作工程について書いていきたいと思います!

前回のScene5では、怒った海の生き物たちに囲まれてしまったビーバー兄弟とデブラ。そして今回、ついに海底にある巨大な竜宮城へ連れていかれます!

ビーバー兄弟は亀の背中に乗せられ、初めて見る竜宮城の大きさにびっくり。一方、デブラは怒ったエビとカニにつかまえられ、泣きながら運ばれています。

いよいよ物語が大きく動き始めました!

さて、今回の制作では、竜宮城という新しい舞台を描くことに加えて、もうひとつ大きな出来事がありました。

それは、これまで当たり前のように行ってきた制作工程を、あえて省略した方がいい仕上がりになったことです。

「えっ、工程を減らした方がよくなるの?」と思いますよね。私も今回の比較をするまでは、そんなことを考えていませんでした。

ところが、実際に複数の完成候補を並べてみると、予想していなかった発見があったんです。

Scene6の元原画と最終採用したリマスター画像の比較

この記事では、竜宮城の背景制作からキャラクターの着彩、輪郭線の調整、そして制作工程そのものを見直すことになった比較実験までを、豊富な画像も交えながら順番に振り返っていきます!

・AIを使った絵本制作に興味がある方
・AI画像生成で修正を重ねるほど違和感が出てしまう方
・イラストの画風や質感を統一したい方
・AIイラストを手描き風に仕上げる方法が気になる方
・作品をどこまで修正すればいいのか悩んでいる方

は是非読んでみて下さいね!

印刷補正用画像6-2採用
AI絵本イラストの画風統一!7人のキャラクターを自然になじませる方法

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1. ついに竜宮城が登場!でも、主役にしてはいけない

今回のScene6は、物語の舞台が大きく切り替わる場面です。

海底にこんな大きな建物があったなんて!

Scene6のオリジナル原画

これまでは、ビーバー兄弟とデブラが海の中を探検していました。

ところが、デブラがうっかりサンゴを折ってしまったことから、海の生き物たちが怒り始めます。

そしてついに捕まってしまい、竜宮城へ連れていかれることに!ビーバー兄弟は亀の背中に乗せられています。

目の前に現れたのは、海底にそびえる巨大な竜宮城。一方、デブラはエビとカニにつかまえられ、泣きながら運ばれています。

今回の絵では、読者に「海底にこんな場所があったのか!」と驚いてほしいところです。でも、ここでひとつ気をつけたいことがありました。

竜宮城を立派に描きすぎてはいけない。

ということです。

豪華なお城にすればいいわけではない

AIに「竜宮城」「宮殿」「荘厳な建物」などと伝えると、どうなるでしょう?

・立派な柱
・豪華な装飾
・複雑な屋根
・きらびやかな建築ディテール

そんな、いかにもファンタジー作品に登場しそうな宮殿を描いてくれるかもしれません。

もちろん、それはそれで魅力的。でも、今回作りたいのは豪華な宮殿のイラストではない。私が描いた、少し素朴でデフォルメされた竜宮城を、絵本の世界へなじませたいんです。

しかも、物語の主役はあくまでビーバー兄弟とデブラ。竜宮城は、彼らがこれから足を踏み入れる新しい世界を象徴する舞台です。

そこで今回のアートディレクションでは、こんな考え方を採用しました。

Big in scale. Quiet in detail.

「大きく見せる。細部は静かに。」

そして、

Grandeur through simplicity.

「荘厳さは、描き込みではなくシンプルさから。」

巨大な建物が、静かに海底へ存在している。

…そんな雰囲気を目指すことにしました。ここから、今回の制作が始まります!

2. Stage0〜1|原画の構図を守り、竜宮城の演出を決める

Scene6の印刷ガイドを重ねた原画

まずは、いつものように印刷用レイアウトの確認から始めました。

印刷用の配置を先に確定する

今回の絵本では、横長の1ページにイラストを配置し、その対向ページに本文を載せる構成を採用しています。

つまり、イラストは見開き全体にまたがるものではありません。そのため、画面中央にある竜宮城を、見開きの中央部分として扱う必要はありませんでした。

一枚の横長イラストとして、読者の視線が自然に流れる構図を考えます。

シーン6原画ガイドなし

CLIP STUDIO PAINTで、完成判型、ノド、小口、塗り足し、重要なキャラクターや建物の位置などを確認。

ここで構図を確定させたら、以降の工程では基本的にレイアウト変更はナシ。AIには、原画の設計を描き直すのではなく、画材感や空気感を整えてもらいます。

光はスポットライトではなく、海全体に存在するもの

次に、Scene6のアートディレクションを考えました。

今回の竜宮城は、海底にある巨大な建物です。そこで、水面から降り注ぐ柔らかな拡散光を使うことにしました。

ただし、竜宮城だけをドラマチックに照らすスポットライトのような演出は避けます。

光は、海全体に自然に存在しているもの。これまでのScene3〜5と同じ海の中に、竜宮城も存在している。

そんな連続性を大切にしました。物語は新しい舞台へ進みますが、世界そのものが突然別物になるわけではありません。

これまで作ってきた海中の空気を引き継ぎながら、新しい景色を見せる。このような方針で背景制作へ進みます。

3. Stage2|竜宮城を描く。でも、設計し直さない!

いよいよ竜宮城の背景制作へ!今回の背景制作で特に大切にしたルールが

Paint the palace. Don't redesign it.

「竜宮城を描く。竜宮城を設計し直さない。」

というものです。

原画の竜宮城には、特徴的な形があります。

・デフォルメされた屋根
・屋根の上にあるしゃちほこのような飾り
・シンプルな建物の構造
・周囲に配置された海藻

これらは、私が描いた竜宮城らしさを作っている大切な要素。AIには、この造形を変えずに、Soft Layered Gouacheという柔らかなガッシュ絵具の画風へ変換してもらいましょう。

最初の背景は、とても綺麗でした

Stage2-Aの竜宮城背景

最初の背景が完成しました!これはなかなかいい感じ。

建物の形も、屋根の特徴も、原画のデフォルメ感もしっかり残っているし、背景単体で見ると非常に綺麗です。

ところが、ひとつだけ気になることが…。少し水彩画っぽい。透明感が強く、柔らかな雰囲気なんです。

これまでのSceneで育ててきたSoft Layered Gouacheとは、少し画材感が違う。このまま採用すると、ページをめくった瞬間に、突然画材が変わったように見えるかもしれません。

直したいのは建物ではなく、絵具の質感

シーン6ステージ2-2

そこで、Stage2-Bを制作しました。

今回の修正方針は、

Keep the softness. Give the paint more body.

「柔らかさは残す。絵具に少しだけ厚みを。」

というもの。

水彩的な透明感を少し抑え、ガッシュ絵具の重ね塗りらしい、マットな質感を加えてみます。ただし、ここで重要なのは、竜宮城の形を変えないこと。

Change the medium feel, not the palace.

「変えるのは画材感。竜宮城ではない。」

この考え方を使って再調整したところ…。

Stage2-AとStage2-Bの竜宮城背景比較

建物の形や装飾はそのままに、絵具の質感だけが変化!水彩画のような透明感が少し落ち着き、柔らかなガッシュ絵具の塗り重ねが生まれたんです。

これなら、これまでの海中Sceneとも自然につながる!ということで、最終的にはStage2-Bを採用しました。

AIに「質感を変えて」と頼むと、形まで変わることがある

今回の実験で改めて大切だと感じたのが、質感の変更とデザインの変更を分けること。

AIは画材感を変えるように指示すると、建物やキャラクターの形まで再解釈してしまうことがあります。

だからこそ、

「変えるのは絵具の質感だけ」
「建物の形は変えない」

というように、変更してよい部分と守る部分を明確にしておく必要があるんです。

幸い、ステージ2でも原画の竜宮城を守りながら画風を統一することができて一安心。

4. Stage3|キャラクターを綺麗に磨いたら、逆に魅力が減った?

背景が完成したら、次はキャラクターの着彩に入ります。今回はScene5で生まれた考え方を、さらに発展させました。

One palace. One water. One paintbox.

「ひとつの竜宮城。ひとつの海。ひとつの絵具箱。」

竜宮城も海もキャラクターも、同じ絵具の世界に存在させる。ただし、キャラクターそれぞれの個性は守ります。

亀はいい感じ。でも、ほかのキャラクターは少し硬い

今回の着彩では、

Give them paint, not polish.

「艶ではなく、絵具を与える。」

という方針を採用しました。

AIにキャラクターを綺麗に仕上げてもらうと、表面がツルツルしたCGのようになってしまうことがあります。

でも、私が目指しているのはそんな質感ではありません。ビーバー兄弟なら、木のおもちゃのような丸み。その表面に、柔らかなガッシュ絵具が薄く重なっているような表現です。

Stage3初稿

最初のStage3では、亀が非常にいい感じに仕上がりました。一方で、ビーバー兄弟には少し硬さがあり、エビとカニにも若干ツルツルした印象が残っている印象。

そこで、キャラクターの表面だけを改善する追加実験を行うことにしました。

キャラクターの表面だけを改善した3-2着彩画像

竜宮城や海の質感は最初よりもいい具合に質感が出て個人的に好みでしたが、やはりキャラのツルツルが残っている。…亀の目もおかしいですし(笑)

改善版を作ったのに、最初の案へ戻ることに!

質感調整した3-3着彩画像

次に制作したのが、Stage3-C。

背景や構図はそのままにして、キャラクター表面の質感だけをさらに調整。狙いは、もう少しガッシュ絵具らしい塗りムラや柔らかさを加えることでした。

ところが、完成した画像を比較してみると、意外な結果になりました。確かに、表面は綺麗に整理されています。

でも、最初の画像にあった軽やかな滲みや色の揺れが、少し減ってしまったような気がして…。

Stage3初稿とStage3-Cの比較画像

ここで、ちょっと悩みます。

「確かに改善されている。でも、最初の方が好きかも……?」

綺麗になったことは間違いない。でも、絵具の偶然性や柔らかな揺らぎは、最初の案の方が魅力的に感じられる。

そこで、最終的に採用したのはStage3の初稿。改善版ではありませんでした。

結局、修正した画像が必ずしも元の画像より良いとは限らないってことを実感しました。何かを追加することが、必ずしも改善になるわけではないんですね。

5. Stage4|線を直したかったのに、絵全体がザラザラに!

続いて、輪郭線の調整です。前回のScene5では、漫画っぽさの原因が、輪郭線の太さそのものではなく「線の均一性」にあることを発見しました。

輪郭線をもっと自然になじませたい

今回も、その考え方を引き継ぎます。

光が当たる側の輪郭線は柔らかく。影側の輪郭線は、形を支えるために少し残す。そして、キャラクターの表情を伝える線は消さない。

線を馴染ませた4-1着彩画像

そんな方針で、まずは線色をキャラクターや背景になじませました。すると、かなり自然な仕上がりに。

でも、まだ少しだけ線の均一感が残っています。そこで、さらに輪郭線の表情を変える実験を行いました。

線は良くなった。でも、絵肌まで変わってしまった

線の境界線を少し崩した4-2

次に試したのが、線の境界を少し崩す方法です。

Break the edge, not the drawing.

「描線を壊すのではなく、境界の均一さを崩す。」

線に微妙なかすれや濃淡を加え、絵具の中へ自然になじませようとしました。ところが、ここで問題が発生!

輪郭線そのものは良くなったのですが、その処理が画面全体へ広がってしまったんです。

Stage4-AとStage4-Bの比較

結果として、絵全体にノイズのような質感が増え、まるでアナログ風のフィルターをかけたような印象に…。

うーん、これは困りました。線を直したかっただけなのに、せっかく作った背景やキャラクターの絵肌まで変わってしまっています。

アナログ感は、ノイズを増やせば生まれるわけではない

そこで、もう一度処理の範囲を見直すことに。今回の修正対象は、あくまでキャラクターの輪郭線。背景や着彩には触れません。

ここで生まれたのが、

Touch the line. Leave the paint alone.

「線に触れる。絵具には触れない。」

という考え方です。

さらに、

Variation, not texture.

「足すのは変化。テクスチャーではない。」

という原則も生まれました。

アナログ風の絵を作るために、画面全体へザラザラしたノイズを追加する必要はありません。必要なのは、線の自然な不均一さです。

・濃い線
・薄い線
・少しかすれる線
・光の中へ消える線
・影側で形を支える線

そうした細かな変化をつけるだけでも、線は自然に生き生きとしてきます。

そこで、処理対象をキャラクターの線だけへ限定したStage4-Cを制作しました。

キャラの線だけ書加工した4-3

結果として、背景やキャラクターの絵肌を守りながら、輪郭線の均一感だけを減らすことに成功!無事、Stage4-Cを正式採用しました!

このときは、ようやくいい感じになったなぁと思ったのですが、実は今回の本当の転換点は、この後に待っていたのです…。

6. Stage5|綺麗に完成した。でも、何かが違う……

次は、画面全体の空気感を統一するStage5。

これまでProject LUMINAでは、背景、キャラクター、輪郭線をそれぞれ調整した後、最後にOne Atmosphereという工程を行ってきました。

これは、すべての要素が同じ空気や光の中に存在しているようにまとめる作業です。

背景もキャラクターも、同じ水の中へ

5-1の着彩画像

今回も、竜宮城、海、キャラクター、光をひとつの世界へ統合しました。すると、かなり綺麗な画像が完成!

竜宮城と海の一体感もあり、キャラクターも自然になじんでいて、Stage5としては十分に成功したといえる仕上がりです。

ところが、よく見てみると、少しだけ気になることがありました。

Stage4-cとStage5の比較

キャラクターの表面が、以前よりデジタル的に見えるんです。

Stage4では残っていた、微妙な塗り重ねや滲み、色の揺れ。そうした絵具の表情が、少し整理されてしまっていました。

絵具の個性を残す改善版を制作

5-2着彩画像

そこで、Stage5-Bを制作しました。

今回の方針は、

Share the water. Don't flatten the paint.

「水は共有する。絵具を均さない。」

というものです。

背景とキャラクターが同じ水の中にいる感じは残しつつ、そのうえでキャラクターそれぞれの絵具の質感を守る方向へ調整しました。

Stage5-AとStage5-Bの比較画像

結果として、Stage5-Bはかなりいい仕上がりになりました。

統一感もあり、絵具の個性も残っています。これなら十分に完成候補として使えそう。そこで、Stage5-Bを正式採用しました。

7. まさかの発見!Stage5を通さない方がいいかもしれない

普通なら、このままStage6へ進むところです。ところが、ここでひとつの疑問が生まれました。

「もしかして、Stage4の方が好きなのでは?」

完成度は高い。でも、最初の方が生き生きしている

5-2着彩画像

Stage5-Bが完成した後、Stage4-Cと並べて比較してみました。すると、意外な違いに気づいたんです。

Stage5-Bは、確かに綺麗です。背景とキャラクターの統一感もあり、一枚の完成作品として整っている。

キャラの線だけ書加工した4-3

でも、Stage4-Cには、別の魅力がありました。

・少し不均一な色の揺れ
・偶然できたような滲み
・キャラクターごとに異なる絵具の表情
・どこか軽やかな雰囲気

Stage5-Bは綺麗に整っている一方で、Stage4-Cの方が絵具らしい生命感を強く感じられたんです。

Stage4-CとStage5-Bを大きく横並びにした比較画像

ここで初めて、こんな疑問が生まれました。

「Stage5って、必ず必要なのかな?」

これまでのProject LUMINAでは、Stage0からStage6まで、順番に工程を進めてきました。Stage4が終わったらStage5。Stage5が終わったらStage6。それが基本の制作方法でした。

でも、もしStage4の段階ですでに背景とキャラクターが自然になじんでいたら?そこへさらに統一処理を加える必要はあるのでしょうか?

むしろ、余計な処理をしない方が、絵の魅力を守れるのではないでしょうか?

Stage4から直接Stage6へ進んでみる

そこで、今回は思い切って別ルートを試してみることにしました。

通常の工程は、

Stage4 → Stage5 → Stage6

です。

ところが今回は、

Stage4 → Stage6

というルートも試してみました。

つまり、Stage5を通さず、Stage4の画像をそのまま印刷保護工程へ進めるという実験です。

ただし、ここで重要なことは、Stage6にStage5の代わりをさせないことです。

Stage6では、

空気感を新しく作りません。
色を鮮やかにしません。
キャラクターを磨きません。
完成品らしく整えることもしません。

ただ、印刷したときに失われそうな色の階調を守る。それだけを行います。

この実験で、予想外の結果が出ました。

8. Stage6|最後に選んだのは、あえて工程を減らした画像でした!

6-1緑っぽい

Stage4から直接Stage6へ進めた最初の画像は、かなり魅力的でした。

Stage4にあった軽やかさや絵具の揺らぎ、アナログ的な雰囲気がしっかり残っており、「これはいいかもしれない!」と思わずガッツポーズ(?)。

最初の直接ルートは、少し緑っぽくなってしまった

しかし、ひとつ問題がありました。画面全体が、わずかに緑色へ寄ってしまったんです。

せっかく絵具の質感を守れたのに、海の色合いが少し変わってしまっています。そこで、もう一度調整することにしました。

直したのは、緑色の偏りだけ

今回の修正では、変更対象を極端に絞りました。修正するのは、画面全体の緑かぶりだけです。

・青色を鮮やかにしない
・キャラクターの彩度を上げない
・コントラストを強くしない
・光を増やさない
・シャープにしない
・テクスチャーを追加しない
・キャラクターの表面を均一にしない

ステージ4から6の初稿

こうして、緑色の偏りだけを改善する「Neutral Print Protection」という調整を行いました。

ここでの合言葉は、

Correct the cast. Preserve the character.

「色かぶりだけ直す。絵の個性は直さない。」

というもの。

その結果、Stage4の魅力をほぼ残しながら、色の偏りだけを改善できました!

最終候補3枚を比較してみました

ここで、3つの候補を比較してみましょう。

6-1緑っぽい

候補①:Stage4 → Stage6 初稿

絵具の軽やかさやアナログ感は魅力的。ただし、少し緑かぶりが残っています。

ステージ5から6ルートの画像

候補②:Stage5 → Stage6

非常に綺麗で、背景とキャラクターの統一感も高い仕上がり。ただし、少し整いすぎていて、絵具の偶然性が減っています。

ステージ4から6の初稿

候補③:Stage4 → Stage6-B

Stage4の絵具らしさを残しながら、緑かぶりだけを改善した画像です。

ステージ6さん種類比較

そして最終的に採用したのは、

Stage4 → Stage6-B Neutral Print Protection

でした!

つまり、今回はStage5を通さないルートを正式完成印刷候補として採用したんです。これは、Project LUMINAにとってかなり大きな出来事でした。

Stage5が失敗だったわけではありません

ここで誤解しないでほしいのですが、Stage5が失敗したわけではありません。Stage5-Bも、十分に成功した画像でした。

ただ、Stage4の方に、より魅力的な絵具の表情が残っていたんです。

成功した工程を、必ず採用しなければいけないわけではない。

今回の比較では、そのことを学びました。

また、Stage5が不要だと結論づけたわけでもありません。今回のScene6では、Stage4の段階ですでに十分な空気感が成立していたため、Stage5を省略する方が魅力的だったということです。

今後のSceneでも、この方法が有効なのか検証していく必要があります。

9. 新しい制作方法が誕生!完成までのルートはひとつじゃない

今回の実験から、Project LUMINAには2つの完成ルートが考えられるようになりました。

Route A|通常の空気感統合ルート

Stage4 → Stage5 → Stage6

こちらは、これまで使ってきた標準的な制作方法です。

例えば、

・キャラクターと背景がまだ少し分離して見える場合
・光の方向や色温度が揃っていない場合
・背景とキャラクターが、同じ空気の中にいるように見えない場合

そんなSceneでは、Stage5で全体の空気感を統一することが役立ちます。

Route B|絵具の個性を守る直接ルート

Stage4 → Stage6

こちらは、今回新しく試した方法です。

Stage4の段階で、

・すでに背景とキャラクターが自然になじんでいる場合
・絵具の滲みや色の揺れが作品の魅力になっている場合
・さらに統一処理を加えるとその魅力が失われそうな場合

そんなSceneでは、Stage5を通さず、直接印刷保護へ進むことも選択肢になります。

ただし、これはScene6で初めて成立した有力な仮説です。すべてのSceneでStage5を省略すればいい、という話ではありません。

大切なのは、その絵に本当に必要な工程だけを選ぶことです。ここまで制作を進めてきて、ようやく工程そのものを見直せる段階になってきたのかもしれません。

10. 「綺麗」と「良い」は、同じではない

今回の制作で、私が特に印象に残ったことがあります。

それは、

「綺麗」と「良い」は、必ずしも同じではない。

ということです。

Stage5を通した画像は、本当に綺麗でした。色も整っていて、統一感もあります。完成したAIイラストとして見れば、かなり高い完成度だったと思います。

でも、今回最終的に選んだのは、少し不均一で、少し揺らぎが残っている画像でした。なぜでしょう?

それは、その不均一さに魅力を感じたからです。人が絵具で描いた絵は、すべてが完璧に均一ではありません。色の重なり方も違います。滲み方も違います。

筆の跡や境界も、少しずつ違います。そんな偶然の表情が、絵の魅力になることがあります。

ところがAIに何度も修正してもらうと、そうした違いが整理され、綺麗に均一化されてしまうことがあります。

もちろん、均一で整った絵が悪いわけではありません。

ただ、今回のProject LUMINAで目指しているのは、柔らかなガッシュ絵具の重ね塗りと、木のおもちゃのような温かさを持った絵本の世界です。

その世界では、少し不完全な部分が残っている方が、魅力的に見えることもあるんですね。

AIにどこまで描かせるかではなく、どこで止めるか

これまでは、AIにどう指示すれば理想の画風へ近づけるかを考えてきました。

どうすれば背景とキャラクターがなじむのか。
どうすれば輪郭線が自然になるのか。
どうすれば印刷向けの色を守れるのか。

そんな技術を少しずつ積み重ねてきました。

でも、今回のScene6では、さらにひとつ新しい問いが生まれました。

「どこまでAIに修正してもらうべきなのか?」

という問いです。

AIは、こちらがお願いすれば何度でも新しい画像を作ってくれます。

もっと綺麗に。
もっと鮮やかに。
もっと自然に。
もっと完成度を高く。

そんな指示を重ねることもできます。

でも、作品がすでに魅力的な状態になっているなら、そこで手を止めることも必要なのではないでしょうか。

どこまで作るかを決めるだけでなく、どこで止めるかを決める。

それも、作者の大切な仕事なのだと思いました。

今回の制作で生まれた言葉があります。

Stop when the painting is still breathing.「絵がまだ呼吸しているところで、止める。」

この言葉は、今後も大切にしていきたいと思います。

11. Scene6は、竜宮城だけでなく制作方法も変えた一枚でした

今回のScene6では、ついに竜宮城が登場しました。

原画の素朴な造形を守りながら、柔らかなガッシュ絵具の世界へ変換することができました。

キャラクターの着彩では、綺麗に磨きすぎないことを学びました。

輪郭線の調整では、アナログ感を出すためにノイズを追加する必要はないことを学びました。

そして最後には、これまで必ず行っていたStage5を省略するという、新しい制作方法まで試すことになりました。

振り返ってみると、今回の制作は、単に竜宮城のイラストを完成させる作業ではなかったように思います。

これまで作ってきた制作工程そのものを、改めて見直す機会になりました。Stageをひとつ進めれば、必ず作品が良くなる。そんな単純なものではなかったんですね。

大切なのは、決められた工程を全部通過することではありません。

その作品が最も魅力的に見える地点を探すこと。そして、その魅力を守ること。

今回のScene6では、そんな考え方が少しずつ形になってきました。

結果的に、各ステージで自分が気に入ったテイストのものを複数枚ピックアップして最終採用候補が決まりました。

ステージ4から6の2番目
最終候補画像2
最終候補画像3
最終候補画像4

なお、この時点で完了したのはAIによるリマスター工程です。実際に紙へ印刷したときの色や質感については、後の印刷確認工程で検証していく予定。

プリントしたものを見て絵本に使用する1枚を決めたら、その後で気になる箇所を手動修正していく流れとなります。

まとめ|絵がまだ呼吸しているところで、止める

最終候補画像4つまとめ

さーて、そんなわけで『ビーバーとビーすけの竜宮城大作戦』のScene6「竜宮城への連行」のリマスター制作工程をご紹介しました!

今回の制作では、いくつもの大切な発見がありました。

・竜宮城は豪華に描き込むのではなく、シンプルな造形で大きさを表現する

・AIによる画材感の変更と、デザインの変更は分けて考える

・キャラクターを綺麗に磨きすぎると、絵具の魅力が失われることがある

・アナログ感はノイズの追加ではなく、線や色の自然な揺らぎから生まれる

・Stage5での統一処理が、必ずしもすべてのSceneに必要とは限らない

・印刷保護では作品を磨き直さず、もともとの表現を守る

・制作工程を全部通過することより、作品にとって最も良い状態を選ぶ

そして、何より印象に残ったのは、

Stop when the painting is still breathing.

「絵がまだ呼吸しているところで、止める。」

という言葉です。

私が最終的に採用した画像は、必ずしも一番綺麗に整っていた画像ではありませんでした。むしろ少し不均一で、少し曖昧で、絵具の揺らぎが残っている画像です。

でも、だからこそ、そこに魅力を感じたんですよね。

AIを使えば、どこまでも画像を修正できるかもしれない。けれど、修正を重ねるほど良くなるとは限らない。

「もう少し綺麗にできるかもしれない」そう思ったときに、あえて手を止める。そして、すでにそこにある魅力を守る。

そんな判断も、作品を作るうえでは大切なのだと思います。

今回のScene6は、竜宮城という新しい舞台を完成させた一枚であると同時に、Project LUMINAが「完成とは何か」を考え直した一枚になりました。

そして次のScene7では、いよいよ乙姫との対面です!ここから物語がどんな展開を迎えるのか、引き続き制作の裏側をご紹介していきたいと思います!

以上、ふるもーすでした!

📖試行錯誤の先に、一冊の絵本が生まれました。

AIと一緒に悩み、描き直し、何度も試して完成した『ビーバーとビーすけの竜宮城大作戦』。

この制作ログで紹介してきたイラストや物語が、実際に一冊の絵本になっています。あなたもビーバーたちと一緒に海の冒険に出かけませんか?

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