規則正しく並んだ干し草の塊、農道をのんびりと走る馬車と馬の蹄の音・・・
ルーマニアの北部に位置する「マラムレシュ地方」。そこには、まるで時計の針が止まったかのような、素朴で美しい農村風景が広がっています。

今回ご紹介するkindle紀行エッセイ本『姉妹で旅する世界エッセイ ルーマニア編2 美しき木造教会と田園風景──マラムレシュで出会う人と暮らし』では、この地域に点在する世界遺産の木造教会を巡り、伝統を守り続ける村人たちの懐に飛び込んできました。
予定調和な観光旅行では決して味わえない、ヒッチハイクでの移動や、村人から突然誘われたバーベキュー。
この記事では、本編に書ききれなかった当時の空気感や、「なぜこのエピソードをどうしても伝えたかったのか」という制作の舞台裏をお届けします。
自分にとってルーマニア編2巻はどんな巻になった?

今回の2巻では、ルーマニア編のメインパートともいえるマラムレシュの村巡りを中心にした構成となっています。
主に
・仮面職人が住まう村サチェル
・民族衣装体験をしたボグダンヴォーダ
・バーベキューに招待されたボティザ
・怖い教会で有名なポイエニレイゼイ
・世界遺産の木造教会があるブルサナ
・伝統的な村ブデシュティ
といった村を訪れ、そこで起こった出来事やちょっとしたエピソードを軸に、自分が感じた想いを独白的に綴っています。
・民族衣装体験
・地元の人の家にお呼ばれ
・地元の郷土料理を味わう
・ヒッチハイクで気の向くままに村を渡り歩く
ルーマニアの田舎の村巡りを地でいくような内容で、オフグリッドな生活に興味ある方にとっても面白いんじゃないかと。
村から村への移動は全てヒッチハイクなので、いい具合にロードムービー感が出たかななんて思っています。
こだわった点・お気に入りポイント

マラムレシュ編前編ともいえる今回の2巻では、沢山の地元の人々との交流があったのですが、その中でもやっぱりサチェルで仮面職人と出会ったエピソードは自分の中でもお気に入り。
彼の生き方や言葉の一つ一つがその時の自分の心にとても響いて、創作に打ち込む芸術家としてのひたむきな姿勢や前向きな考え方には大いに勇気をもらいました。
彼の魅力的な人柄やキャラクターをしっかりと表現したいので、ちょっとした台詞も含めてリズム感にも気を付けながら気合を入れて執筆。

あとはやはり、この地域特有ののどかな農村風景の描写も個人的には見所かなと。牧歌的でのんびりと癒される雰囲気や地元の人々の優しさが感じられるよう、情景描写は非常にこだわったつもりです。
写真がないからこそ、文章でどれだけマラムレシュの魅力を伝えられるか?が勝負というか。読者の頭の中に自然とマラムレシュを旅しているワンシーンが浮かんでくるような文章になっているとよいのですが。
2巻では食事やお祭り、民族衣装含め、ルーマニアの伝統文化についての説明も随所に取り入れています。
「楽しみながら多少の学びもある紀行エッセイ」を目指し、読者が物語を追いながらマラムレシュについて深く知れるような1冊になればいいなぁ。・・・そんな願いを込めて。
2巻で大変だった点

2巻は、ルーマニア編(6冊)・ブルガリア編(6冊)合わせた中で、一番ページ数が多い巻になりました。とにかく、ボリューム感が半端ない!
この巻だけで5つの村+イエウド&ポイエニレイゼイの日帰り観光をしているので内容量が大幅に増えてしまったんですよね。それでもまだ全部書ききれていないっていう・・・。
マラムレシュ編だけでも結構な分量なので、最終的に2冊に分けることになったのですが、前編ともいえる2巻だけでも5つのパートが必要で書くのがめっちゃ大変でした。
訪問地が多いだけではなく、訪れた各村でのエピソードもこれまた豊作なのでどれを見せるか、どれを削るか?で色々頭を悩ませたり。
伝えたいこと、残しておきたいこと、絶対に書きたいことが山のように出てきて、情報を整理するだけでも一苦労。その分、非常に濃密な内容になったと思います。
ルーマニア編2巻の表紙写真と選定理由

続いて、2巻の表紙について色々語っていきたいと思います。
今回、2巻の表紙に選んだのはブルサナ修道院の全景。
空に向かってそびえる立派な尖塔が印象的な1枚で、教会の全景を中央に配置すると丁度縦長の表紙にすっぽり収まるサイズ感がドンピシャ。
・一目でマラムレシュらしさが伝わる美しい分かりやすい構図
・木造教会のアナログ感が旅情・物語性・温かみを感じさせる
ということから、「旅エッセイの物語感」もいい具合に出せて表紙向きかなと思いました。
マラムレシュといえばやはり木造教会は外せません。このブルサナ修道院は、マラムレシュ中でも比較的アクセスしやすい場所にあるので旅人の中でも知名度が高め。
このエリアを観光する旅行者は必ず1つはどこかの木造教会を訪れると思うので、そういう意味でも「マラムレシュ=木造教会」という分かりやすいイメージの写真を使った方がキャッチーかなと思ったんですよね。
デザイン裏話

続いて、ルーマニア編2巻の表紙デザインについてあれこれ語っていきたいと思います。
今回の写真はシンプルな構図で文字の配置もしやすかったですね。
雲のグラデーションも美しく、余白もとれるし、黒っぽい建物のおかげで文字入れの色にも悩まず、わりとすんなりデザインが決まったような気がします。
・タイトルは左寄せ
・サブタイトルも左寄せ
・著者名は中央寄せ
・フォントの色は白+グレー系のシャドウで統一
結果的に、かなりガイドブック感のある表紙デザインになったのではないかと。
ボツ案公開
さて、続いては今回の巻であえなく落選してしまった表紙候補写真をご紹介していきますね。

まずは1枚目、牧草地×村の道×旅する姉妹の後ろ姿という旅情三点セットです。
姉妹旅の象徴でもある「後ろ姿+バックパック+農道」が、まさに本書のコンセプトである「姉妹で旅する」世界観にぴったり。作品テーマを視覚的に伝えてくれる点は文句なし。
人の気配と風景の融合がいい感じで、視線誘導もしっかり効いており、“旅の始まり”や“物語の導入”にうってつけ。村の風景もバランスよく入り、のどかで優しいトーンも癒されます。
これ、最後まで表紙にしようか悩んだのです。でも、マラムレシュのことをあまり知らない人も読むことを考えると木造教会の方がキャッチーかな?という理由から泣く泣くボツにしました。

続いてはこちら。道の中央に立つ電信柱の上のコウノトリの巣が印象的な構図です。ちなみにボグダン・ヴォーダの民家近くで撮影しました。
奥行きがあり、読者の視線を写真の中心に引き込む力が強く、空の色も鮮やかなので文字も載せやすそう。村の通りに面する木造の建物と門、民家といったローカルな雰囲気と歴史ある建築が、この巻のテーマには合ってます。
色味や構図も落ち着いていて、テキスト配置しやすいバランスも〇。ただ、ちょっと地味だよなぁと思い結局ボツにしました。
裏表紙写真

裏表紙は可愛らしい干し草の塊with平原。
本を作るにあたってこれは絶対にどこかで入れたかったんですよね。規則正しく並んだ干し草はマラムレシュ地方を代表する風景の1つだと思います。

この牧歌的でのどかな光景が、自分の中でのマラムレシュのイメージだったので旅中にこれぞ!という写真が撮れて嬉しかった!
丁度晴れていたのも好都合。真っ青な空と干し草のコントラストが映えます。ちなみにこれもボグダン・ヴォーダで撮りました。
写真で振り返るルーマニア旅行エッセイ第2巻・サチェル編

さて、ここからは旅行中に撮った豊富な写真とともにルーマニア編第2巻の内容をザザッと振り返りつつ、個人的な想いやエピソードを紹介していきたいと思います。
まずはマラムレシュはイザ渓谷の入口にある村・サチェル。ここは本当に小さな村でマジで何もなかったです・・・(笑)

私たちがこの村に来た目的はただ一つ、仮面職人に会うこと。
しかし、村に来たはいいものの、情報が全然なくて・・・。そもそも職人がどこに住んでいるのかも分からないし、アポもとってないし、本当に会えるのか?というところから私たちのマラムレシュ旅は始まりました。
いきあたりばったりで突撃した結果、どんな結末が待ち受けていたのかは本編でご確認下さい。

ちなみにサチェルでは陶芸職人の工房にもお邪魔しました。

この村で採れる赤い土から作った赤い陶器はサチェルの名産品としても有名だそう。

間近でプロの職人の作業風景を見られる貴重な機会はそうそうないので、すごく刺激になりました。
写真で振り返るルーマニア旅行エッセイ第2巻・ボグダン・ヴォーダ編

続いては、ボグダン・ヴォーダ。
ここは動物市で有名な村なのですが、タイミングが合わずに残念ながら見ることは出来ずに終わりました。


村自体は特段何もないごく普通の田舎という感じで、ゲストハウスのオーナーすら「ボクダン・ヴォーダには何もないよ」と言われる始末。
ボグダン・ヴォーダで宿泊した宿で民族衣装体験♪

この村の1番の思い出は泊まった宿の親子との交流。素朴でとてもいい人達で、小さい娘さんと一緒に民族衣装を着て一緒に撮影会出来たのが楽しかったです。

民族衣装を着たオーナーの娘・アディナ。この子が本当に可愛らしくて、何かしゃべる度に胸がきゅん★

細かい刺繍が施されたボグダン・ヴォーダの民族衣装。宿のオーナー親子との心温まる交流話や民族衣装体験の詳細などは是非本編をご覧あれ♪
日帰り散歩でイエウドの木造教会へ

ボグダン・ヴォーダからのプチトリップ。行先はマラムレシュの中でも伝統的な村として有名なイエウド。ここにも立派な木造教会があるので雨の中見学に向かったところ・・・まさかの結末に。
詳しくは本編でどうぞ。

偶然通りかかった民家の前で機織りのおばあさんに呼び止められたり。思わぬ素敵な思い出が作れて雨の中来た甲斐があったなと。
写真で振り返るルーマニア旅行エッセイ第2巻・ボティザ編

続いてはボティザ村へ。ここはとっても可愛らしい雰囲気の村で、マラムレシュで訪れた村の中でもお気に入りの場所の1つになりました。
地元の人々が皆親切で、本当によくしてくれましたね~。もう素朴を絵に描いたような人たち。
実は、宿に辿り着くまでにとあるハプニングというか事件(?)に見舞われてしまい、その結果、旅人としては前代未聞の行動に出ることに・・・。
こんなことをする奴いないだろ~、と読んだ人から絶対に突っ込まれるであろうおバカな珍エピソードが爆誕してしまいました。
詳しくは本編でどうぞ。

もちろん、この村にも木造教会があります。


実は、手に持っているこちらのポストカードにも心温まるほっこりエピソードが隠されていたりして。
ボティザ村の宿で食べたルーマニア家庭料理が絶品

ボティザ村で泊まったゲストハウス。アットホームでとても居心地のいい宿で、この宿のおかげで最高に楽しい滞在になりました。
民族調の装飾に溢れた内装もマラムレシュらしさ抜群で、陽気で明るい娘さんとその母親があれこれ世話を焼いてくれて感謝。

ここはとにかく食事が美味しすぎてその印象が強いですね。夕食も朝食もとにかく多種多様なメニューが出てきてボリュームも満点。まさにマラムレシュのおふくろの味って感じ。
毎回食事の時間が楽しみでたまりませんでした。

サプライズでもらったルーマニア国旗を模した手作りのスマホケース。これには涙ちょちょぎれ。
ボティザ村の地元民とホリンカで交流

ボティザ村の住人は親切で人懐っこくてノリがいい!旅人を見るとすぐに声を掛けてくるフレンドリーさ。たまたま通りかかったら庭にいた女性が手作りのドーナツ(ゴゴシ)を分けてくれたり・・・

突然玄関先に呼ばれたと思ったらホリンカを渡され、なぜか立ち飲みが始まったりとすごくオープンな気質。

たまたま知り合った住人の家で即席バーベキューが開催され、私たちも何故かあやかることに。

この夫妻は人柄も考え方も佇まいも含め、すごく素敵な人たちでした。

田舎暮らしってこんな感じなんだと思いながら、自然とともに生きるマラムレシュの人々の魂に触れたような気がします。
ボティザから日帰りでポイエニレ・イゼイの木造教会へ

ボティザ村滞在中は、ここからほど近いポイエニレ・イゼイという村まで徒歩でお散歩したことも。

ポイエニレ・イゼイには怖い教会と呼ばれる世界遺産にもなっている木造教会があります。観光がてらついでに見学。

帰りも歩いてボティザ村まで向かいます。マラムレシュののどかな田園風景が心に沁みる・・・。


何てことのない風景にマラムレシュらしさが溢れていて、なんだか愛おしくて泣きそうになりました。
写真で振り返るルーマニア旅行エッセイ第2巻・ブルサナ編

お次にやって来たのは、世界遺産にもなっているブルサナ修道院があるブルサナ村。

ここは観光地としても有名なので珍しく人が多かったです。規模感も他と比べると大きめ。

マラムレシュで三軒しかないレストランで夕飯をいただくの巻。基本的に村人は外食しないので、外で食べられる店を探すのが結構大変でした。
写真で振り返るルーマニア旅行エッセイ第2巻・ブデシュティ編

2巻最後の舞台はブデシュティ村。
ここはマラムレシュの村の中でもかなり保守的で伝統色強め。村全体に漂う威風堂々とした佇まいがその長い歴史を感じさせます。
ブデシュティでは生死を分けるようなとんでもないハプニング(ある意味自業自得?)が発生してしまい、散々な目に遭いました・・・。空腹と飢えにさいなまれたブデシュティのトホホなエピソードは是非本編でご覧あれ!

マラムレシュでよく見かける木彫りの門。家の権威を表すためのもので、様々なシンボルが彫られています。

ブデシュティの木造教会。この教会は数ある木造教会の中でもかなりの迫力と重厚感がありました。見応え抜群!
それぞれの村に独自の伝統や個性があって、マラムレシュ地方の多様な文化に少しだけ触れられたような気がします。
おわりに

さーて、そんなわけで『姉妹で旅する世界エッセイ ルーマニア編2美しき木造教会と田園風景──マラムレシュで出会う人と暮らし』のセルフライナーノーツを書かせていただきました!
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
今回のブログ記事では写真を中心に旅の輪郭をなぞりましたが、Kindle本『姉妹で旅する世界エッセイ ルーマニア編2』の中には、写真だけでは切り取れなかった「街の匂い」や、その時々の「私の心の独白」をさらに濃密に閉じ込めています。
ネットの情報だけでは辿り着けない、現地の温かな鼓動を1冊のエッセイに凝縮しました。木造教会の静謐な空気や、温もりたっぷりなルーマニアの家庭料理の味をを、ぜひ本書で一緒に体験してください。
「マラムレシュの風を、あなたの手元に」

電子書籍なら気軽に、ペーパーバック版なら、美しい表紙とともに「旅情に浸れるとっておきの物語」として手元に置いておくのにも最適です。
コーヒー片手に是非ルーマニアのエモーショナルでドラマチックな旅を心行くまで味わってみて下さい♪