「ヨーロッパで最も観光客が訪れない国」――そんな言葉に誘われて、私たちはブルガリアの国境を越えました。
こんにちは、創作作家・クリエイターのふるもーすです!
姉妹ユニット『ふるもーす』のバルカン半島旅は、ブルガリアから次なる国、モルドバへと舞台を移しました。
そこにあったのは、時が止まったような未承認国家「ドニエストル共和国」の不思議な緊張感と、対照的にどこまでも穏やかな渓谷の村・トレブジェニでの出会い。
今回紹介する新刊『姉妹で旅する世界エッセイ モルドバ編 モルドバ旅日記──未承認国家と渓谷の村で見つけたやさしさ』は、この国の光と影、そして何より旅人を包み込む「やさしさ」を1冊に凝縮した旅日記です。
「未承認国家って実際どうなっているの?」
「何もないと言われる国に、何があるの?」
そんな疑問への答えを、作家としての葛藤や制作の舞台裏を交えながら、この記事でお届け。
ブルガリア編を未読の方も、ここから始まる新しい物語として、ぜひ一緒にモルドバの風を感じていただければ幸いです。
自分にとってモルドバ編はどんな巻になった?

今回のモルドバ編は全1巻。主な内容としては、ルーマニアのブカレストから夜行列車で国境を越えてモルドバに入国したあとで
・首都キシナウ
・未承認国家沿ドニエストル共和国
・オルヘイウルヴェキ(トレブジェニ・ブトゥチェニ)
という3つのエリアを巡りながら、街歩きや観光、現地の食を楽しんだり、地元の人々と交流したりしつつ、そこで起きたエピソードやちょっとしたトラブル等併せて旅の記憶をエッセイ風に綴っています。
「ヨーロッパ最後の秘境」とも呼ばれるモルドバ。
日本人旅行者がほとんど行かない国だからこそ、想像がつかないし、一体どんな国なんだろう?と気になってしまいますよね。
さらには未承認国家という言葉だけで、なんとなく怖そうなイメージの沿ドニエストル共和国に至ってはもはや謎すぎて・・・。
観光情報もあまりない中で、ドキドキしながらおっかなびっくり、一歩ずつ自分の足で確かめるように旅をしていく感覚がなんだか懐かしかったです。
時にはトホホなトラブルに見舞われたりもして、色々な意味でバックパッカーぽい旅になったなぁという印象。
ブルガリア・モルドバ・ルーマニアの三ヶ国シリーズの中では、この巻が1番ミステリアスでアドベンチャー感が強い1冊になったかなと個人的には感じています。
ページをめくりながら未知の国を旅するワクワク感を楽しんでいただければ嬉しいです。
モルドバ編でこだわった点・お気に入りポイント

モルドバ編でこだわったのは、
・オルヘイウルヴェキの雄大で迫力のある美しい自然の風景
・トレブジェニののどかな空気感
をどうエモく表現するか?でした。
村のスローライフを堪能しながら、空の広さや夕暮れのダイナミックさ、穏やかな風の匂いを感じて心がとても癒された・・・
という個人の感覚的なエピソードを物語の中でしっかり伝えたかったので、そこは結構意識したつもりです。
旅行系でよくありがちな「実用的な情報ガイド」ではなく、「個人の感覚や体験談」を等身大の言葉で綴ることで、書き手の温度感がしっかり伝わる紀行エッセイになったような気がします。
あとは、沿ドニエストル共和国のパートでは、旅の冒険感とそこに住む人々のリアルな言葉を通して、この国の雰囲気を読者に疑似体験してもらうことにも注力。
個人的お気に入りはトレブジェニのガチョウの群れのシーン。野生のガチョウがあまりにもラブリーすぎて、胸のときめきが止まらず、思わずキュン死にしかけました。可愛すぎて滅!!って感じ笑

ちなみに、モルドバ編では食事の描写もかなり気合入れて書いています。
現地では素朴なモルドバの家庭料理と有名なモルドバワインを思う存分堪能できたのですが、料理があまりにも美味しすぎてびっくり。

正直、ご飯が美味しいイメージがなかったからこそ、余計にこの感動は作品として絶対残さねば!という妙な使命感が芽生えてしまいました。
モルドバ編で大変だった点

ブルガリア編とは違い、4日間という短期の滞在だったのもあって1冊で完結させなきゃいけないところが難しかったですね。
全体のボリューム感をどれくらいにするか?
内容と各エリアごとの分配のバランスはどうするか?
といった構成を考えることに苦心したものの、最終的にはどれも丁度いい塩梅になったのではないかと思います。
モルドバ編の表紙写真と選定理由

続いて、モルドバ編の表紙について色々熱く語っていきますね。
今回、表紙に選んだのは洞窟から女性が渓谷を見下ろしている後ろ姿の写真。トレブジェニで見た絶景のワンシーンです。
フレームのような洞窟と奥行きある自然景観がまさに圧巻で、額縁構図で視線が中央に集まるところもインパクト大。
自然の圧倒的な美と迫力、雄大さがドラマチックな旅情を掻き立てると同時に、どこか旅の静寂や神秘性も感じさせる世界観。
作品の雰囲気を的確に伝える「表紙映え」する写真なので、これは見た瞬間にモルドバ編にぴったりだ!と感じました。
表紙デザイン裏話

今回の写真は
・中央に風景と人影が配置
・上部と下部は暗めの岩
という、非常にレイアウトがしやすい写真でした。
メインタイトルの文字は洞窟の天井の黒いスペースに白字(シャドウなし)で入れ、下部の岩場や草原上部にサブタイトルを配置。
特別なことをしなくても普通に表紙っぽいデザインに仕上がったのでよかったです。
ボツ案公開
続いて、今回の巻であえなく落選してしまった表紙候補写真もせっかくなのでご紹介していきますね。

まずは石の十字架と広がる渓谷、青空と女性の後ろ姿。
これはブトゥチェニという村の付近で撮影したものです。静謐な深み、旅人感、風景が一体となり、神聖さとノスタルジーを両立したような雰囲気。
自然×人物×信仰のバランスが絶妙で、「静かなる渓谷と未承認国家の素顔」というテーマにマッチしそうだなと感じました。
クロスの形状が欧州東端感強く、読者が「どこの国の物語?」と興味を持ちやすいところもいいかなと。
エモーショナルで印象深い「精神性」ある1枚だけど、これだけだと大自然ぽさがない&もう少し壮大感も欲しいと思い、結局ボツにしてしまいました。
どちらかというと、本の中扉や章タイトルページの挿絵向きかも。

次は、ブトゥチェニの岩窟修道院から見下した景色と女性(妹)。
シチュエーションはダイナミックでよいのですが、側面からの女性の写真はやや構図が平坦。表紙映えが弱く、文字入れもしづらいためボツに。

こちらは十字架の単体写真。石のクロスそのものは力強さはあるものの、人が写っていないためストーリー性に欠ける点がイマイチ。
シリーズの「姉妹旅」感が薄れるという理由で、やはり候補から外れてしまいました。
裏表紙写真

裏表紙は、夕暮れの草原を行進するガチョウの群れを撮ったもの。
実はこれも最初は表紙候補に挙がったんです。残念ながら採用されることはなかったのですが、すごくお気に入りの写真だったので裏表紙用としてリサイクル。

ガチョウの可愛らしさに癒されるのはもちろん、素朴な地元の日常を切り取った風景がどこか郷愁を誘い、読者の心に残る1枚になっているかなと。
トレブジェニの田舎らしさ・牧歌感が出ていて「旅エッセイらしさ」が◎。ほっこり感がいい感じ。
写真で振り返るモルドバエッセイ・首都キシナウ編
それでは、ここからは旅行中に撮った豊富な写真とともに、モルドバ編の内容をザザッと振り返りつつ、個人的な想いやエピソードを紹介していきたいと思います。
まずは首都キシナウから。

ブカレストノルド駅から夜行列車に乗り、キシナウを目指します。深夜の国境超えは緊張感に溢れていて、寝ぼけ眼で入国審査をしたのも今となってはいい思い出。
実際にどんな雰囲気だったのかは是非本編で♪
凱旋門や中央市場も!キシナウ観光と宿泊した宿の珍事件

モルドバの首都キシナウに到着。凱旋門にたなびく国旗が別の国に来たのだという実感を与えてくれますね。

こじんまりとした街ですが、それでもヨーロッパっぽい小奇麗な雰囲気で道も歩きやすかった~。

道端では青空市場的な路上販売(?)も自由に行われていたり。

活気溢れるキシナウ中央市場は庶民の生活の場。バスターミナルもこの近くにあり、色々な方面へのバスが頻発しています。

キシナウで泊まった宿。ここがもう本当に最低最悪で、まさかのとんでもないエピソードが生まれてしまいました。今思い出してもほんと悔しいやら腹立たしいやら・・・。
是非本編でこの怒りの理由を確かめていただければ。くそぅ・・・。
キシナウのレストランで食べた食事を紹介!ルーマニア料理が多め?

キシナウではせっかくなのでレストランにも入ってみました。基本的にモルドバの料理はルーマニアと変わらない印象ですが、ボルシチがメニューにあるところがロシアとの関係性を伺わせますね。

くるりと巻かれたソーセージは肉汁たっぷりのジューシーなお味。

豚のスペアリブ。やはりというべきかお肉が多め。一人前のボリュームがとんでもない!

ファミレス的な雰囲気のお店でも何を頼んでも美味しいので驚きました。チキンサラダなんて野菜も味が濃いし、チキンもめっちゃ柔らかいんです。
元々の素材がいいものなのかなと感じました。
モルドバで購入した旅のお土産♪郵便局で切手をゲット

モルドバのお土産に毎回恒例の記念切手を購入。動物多めでこれはこれでコレクションとしてはいいかも。
写真で振り返るモルドバエッセイ・未承認国家沿ドニエストル共和国編

中央市場のバスターミナルからバスに乗っていよいよ沿ドニエストル共和国へ向かいます。国境超えの瞬間はいつもちょっぴりドキドキ。
モルドバという同じ国の中にあるのに、通貨も異なる独立した国(未承認だけど)というのがとても不思議。人生初めての未承認国家、その実態やいかに!?
旧ソ連風の街並みが特徴?教会やモニュメントも!首都ティラスポリ散歩

ティラスポリは、一見地味ですが危なさそうな雰囲気等は一切なく、いい意味で落ち着いた都市でした。
道行く人皆が親切に声を掛けてきてくれるので、最初に自分が抱いていた印象と違いすぎて・・・やっぱり何でも行ってみないとわからないモンだなぁと実感。

至る所に花が溢れていてその鮮やかさに目が癒されるメインストリート。景観や人も含め、もっと冷たくてやばそうな感じの町(失礼)かと思っていたので、次々と予想を裏切られ、若干困惑してしまったほど。

いかにもな旧ソ連風の建物やロシア風の聖堂もちらほら。

大通りからちょっと奥に入れば普通の民家も立ち並んでいて、庶民の暮らしが垣間見えます。
ティラスポリで立ち寄ったカフェでまったりティータイム♪

ティラスポリでは特にこれといった目的もなくブラブラ歩き回っていたのですが、やっぱりここでもカフェタイムは外せない!ということで入ってみたお店。
このお店を選んだ理由は、実は涙がちょちょ切れそうな(?)素敵な地元民との出会いのエピソードがございまして・・・この人のおかげで着いて早々にドニエストル共和国の株が爆上がり。

ティラスポリには私たちの好きなアフタヌーンティーはなかったけれど、アフタヌーン(午後)にティー(紅茶)は出来たのでよし!笑。外が暑かったのでフルーツジュースをグビッツとな!

ブルガリアでは見ることのなかったシーバックソーンティーなるものも発見。沙棘(サジー)がとれるってやっぱりロシアが近いんだなぁとこんなところでも感じたりして。

毒々しさ満点だけど美味しいケーキ。未承認国家で優雅にお茶している自分たちがなんだかすごく不思議に感じましたね。
沿ドニエストル、ご飯がどれもめっちゃうまくて衝撃です!正直、もっと色々食べてみたかった・・・胃袋も時間も足りないのが悲しい。
ティラスポリで沿ドニエストル共和国お土産探し♪切手とコイン購入

せっかく未承認国家に来たんだから記念になるものを・・・と思い、またもや郵便局へ。キリル文字再び。

全体的になかなか渋めのデザインが多めです。旧ソ連風のにほひが漂う渋めの柄の中に紋章のようなイラストもあったりして。ガリレオ・ガリレイ?の切手が無駄にインパクト大。

もう1つのお土産は沿ドニエストルのオリジナルコイン。これはかなり貴重!おもちゃみたいな見た目だけど、このレトロな雰囲気がたまりません。これは大事にとっておきたくなりますね。
このコインを購入した銀行でもちょっとした交流があったりして、沿ドニエストル共和国の人のフレンドリーさや優しさがじんわり沁みました。
写真で振り返るモルドバエッセイ・オルヘイウルヴェキのトレブジェニ滞在記

モルドバの歴史自然保護区・オルヘイウルヴェキにあるトレブジェニ村。
ここはまさにザ・モルドバの田舎という風情。何もないけどそれがいい。ここではひたすらのどかな時間を堪能しました。
トレブジェニ村で宿泊したゲストハウスと宿で食べた食事を紹介

トレブジェニ村でお世話になったゲストハウスは、まるで田舎のおじいちゃん家に遊びに来た気分になれる素敵な民宿タイプの宿。

モルドバの人は皆地下にワイン貯蔵庫を持っているそうで、私たちも見物させてもらうことに。
自家製モルドバワイン

モルドバといえばやっぱりモルドバワインは外せませんね。普段は飲めないけど、この時ばかりはせっかくなので味見がてらいただきました。
オーガニックワインだから全然変な苦みもなくて飲みやすかった!
モルドバの家庭料理

楽しみにしていたモルドバの家庭料理。サルマーレにママリガにルーマニア料理と似たようなメニューもあるけど、本当にどれも美味しくて感動。やっぱり地元のお母さんの手料理は最高だ!

朝食も朝から心が満たされるようなメニューでどれもこれも素材が新鮮。卵の濃厚さが忘れられない・・・。

朝からカラフルなおかずがズラリ。ふかふかのパンケーキはいくらでも食べられちゃう!
トレブジェニには絶景スポット目白押し!観光の思い出

歩いているだけで何故か楽しいトレブジェニの田舎道。何もない場所で何もしない時間を過ごす・・・まさに生きてるって感じがして、人間らしさを取り戻せたような気がします。

パラカラブルイ・アルブ・マチャカウティの隠れ里と呼ばれる洞窟に侵入。

圧倒的なスケールの絶景を拝んで言葉を失うの巻。そして、実はここで表紙写真を撮影したのでした。

オルヘイウルヴェキ一帯を流れるラウト川の雄大な光景。スケールが壮大すぎて段々距離感がバグってきてしまいます。

近くには池もあったり。夏休みの小学生のように好奇心の赴くままに気になる場所に足をぶ私たち。



ブトゥチェニ村で岩窟教会と聖母降誕教会を見学

トレブジェニの村の近くにはブトゥチェニという別の村があり、ここもオルヘイを代表する観光スポットである岩窟修道院があります。ここから見下ろす景色もまた非常にダイナミック!

聖母降誕教会ではイコン画のミニお守りを購入し、これも旅の記念になりました。
キシナウから国際バスでルーマニアへ・国境超えとモルドバとの別れ

たった2日しか滞在していないオルヘイウルヴェキ。ここを経つ頃にはなんだか心がすっかり洗われたような爽快な気分になっていました。まさに命の洗濯。
トレブジェニにはいつかまた戻っこれたらいいな・・・と後ろ髪を引かれる思いでキシナウに戻り、そのままルーマニアのヤシへと向かいます。ああ、癒しの時間をありがとう。
おわりに

さーて、そんなわけで、ざっくりとですが姉妹で旅する世界エッセイモルドバ編のセルフライナーノーツ記事を書かせていただきました!ここまでお付き合いいただき、どうもありがとうございます。
ブログでは写真を中心に旅の輪郭をなぞりましたが、Kindle本『姉妹で旅する世界エッセイ モルドバ編 モルドバ旅日記──未承認国家と渓谷の村で見つけたやさしさ』の中には、写真だけでは切り取れなかった「街の匂い」や、その時々の「私の心の独白」をさらに濃密に閉じ込めています。

「不便で、未知で、だからこそ愛おしい。そんな旅の記録をあなたへ。」
モルドバでの日々は、私たちの価値観を静かに、けれど確実に変えてくれました。効率や便利さだけでは測れない「幸せの形」が、あの渓谷の村には確かに存在していたような気がします。
本編では、ドニエストル共和国での緊張感溢れる入国の瞬間から、村の家庭料理の温かな湯気まで、ブログでは書ききれなかったディテールを詰め込んでいます。

動画よりも深く、ブログよりも鮮烈に。
私と一緒に、もう一度モルドバの街角を歩いてみませんか?
>>[Amazonでチェック:『姉妹で旅する世界エッセイ モルドバ編』Kindle・ペーパーバック版
また、私たちの旅はこの後、さらに深く神秘的な「ルーマニア編」へと続いていきます。国を跨ぐごとに色が変わり、深まっていく姉妹の旅。
モルドバで感じた「やさしさ」を胸に、次なる地・ルーマニアへと向かう物語も、どうぞ楽しみにしていてください。