モルドバから国境を越え、辿り着いたのは「青」と「彩り」が交差する神秘の地、ブゴヴィナでした。
こんにちは、創作姉妹作家・クリエイターのふるもーすです!
今回は、kindleの紀行エッセイ『姉妹で旅する世界エッセイルーマニア編1 彩りの村と修道院の祈り──ヤシからチョカネスティ、ブゴヴィナの小さな旅』のセルフライナーノーツを書いていきたいと思います。
ブルガリアから始まった私たちの旅は、ついにルーマニア編へと突入。ブルガリアの素朴さ、モルドバの優しさを経て、ルーマニアの色彩豊かな世界へ。

その幕開けを飾る第1巻の舞台は、ルーマニア北東部に位置するブゴヴィナ地方。
この地域には、「ヴォロネツ・ブルー」と称えられる世界遺産・ヴォロネツ修道院をはじめ、フモール修道院など、外壁を鮮やかなフレスコ画が埋め尽くす「5つの修道院」が点在。
けれど、今回のエッセイで私たちが主軸に据えたのは、修道院だけではないんです。
「なぜ、私たちはあえてマニアックな小さな村を巡ったのか?」

伝統的な刺繍のような文様が家々に描かれたチョカネスティ村や、繊細なイースターエッグの文化が息づくバマ村。そんな小さな場所でしか出会えない、人々の祈りや暮らしの美しさこそを、この1冊には詰め込みたかった。
この記事では、作家として最もこだわった「村巡り」の裏側や、ルーマニアという国が持つ独特の空気感をどう言葉に定着させたのか、制作の舞台裏をお届けします。
自分にとってルーマニア編1巻はどんな巻になった?

今回のブゴヴィナ編は、ルーマニア人の信仰心と日常の何気ない風景にフォーカスしています。
1巻では
・学園都市ヤシ
・5つの修道院巡りの起点の町グラフモール
・ヴォロネツ修道院・フモール修道院
・イースターエッグで有名なバマ
・カラフルな模様で有名なチョカネスティ
といった町や村を訪れ、そこで起こった出来事やちょっとしたエピソードを軸に、自分が感じた想いを独白的に綴っています。
モルドバからルーマニアのヤシに入国して、そのまま北上し、ヒッチハイクしながらブゴヴィナ地方の田舎を回る・・・
という初っ端からなかなかにワイルドな展開になり、いい具合に旅らしさも出せたんじゃないかなと。
5つの修道院のうち2つを巡りつつ、日本人がほとんど行かない小さな村も訪れるという
王道観光+マニアック観光
という構成になっているので、両方の面を楽しむことでこの地域の豊かさを感じてもらえれば嬉しいですね。
1巻で自分がこだわった点・お気に入りポイント

コウノトリの巣が電柱に乗っかっていたり、馬車が当たり前のように道を走っていたり、朝から藁仕事したり・・・
何の変哲もない道で、何てことのない風景に出くわす。
そこにブゴヴィナらしさが出ていると感じたので、あえて特にせかせか動かずにのんびりと村をぶらつきながら、人々のリアルな暮らしぶりを旅人の目線で綴ることに注力しました。
田舎特有の素朴さや村人の飾らない生き方、控えめな優しさを表現したかったというか。

その甲斐あって、作中のエピソードのちょっとした部分でブゴヴィナ地方の人々が持つ謙虚さや温もり、素朴さがいい具合に出せたのではないかと思います。
じんわりと染み入るような居心地のよさが文章からも伝わるといいな、なんて思ったり。
また、この巻では
・修道院: 荘厳、宗教画、深い青(ヴォロネツ・ブルー)、祈り
・小さな村: 刺繍のような文様、木の温もり、家庭料理、日常
という「聖と俗(日常)のコントラスト」を強く意識しました。
ブゴヴィナの冷涼な空気の中に漂う、線香と絵具の匂いまでもが伝わるような描写を心掛けた(つもり)ので、そこも是非見ていただけたら。
1巻で大変だった点
ブルガリア、モルドバに続き、今作はルーマニア編の記念すべき第1巻。
やはり書き手としてはブルガリア編と同様に、初めの書き出しで読者をなるべく物語に引き込みたいという気持ちがありました。
これまでのシリーズを読んでいた人も、この巻から初めて読むという人も、両方が楽しめるような導入部にしたいからこそ、初っ端をどういう風に作っていくかは結構悩みましたね。
ルーマニア編は「13年ぶりの再訪」という隠れテーマ(?)があり、これが物語を構成する大きな要素でもあるので、エモさも出していきたいところ。
単なる観光旅行とは違い、
個人的な想いや背景を抱えたうえで過去との邂逅を果たすというドラマチックさ
を出すためにも、「そもそもなぜルーマニアを再訪することになったのか?」もしっかり伝えねば!と鼻息荒く書き始めたら・・・色々語りたいことが多すぎて文字数が大爆発!
逆に削るのに苦労したり汗。そういう意味でも、シリーズ最初の巻ってやっぱり大変だよな~、なんて思った覚えがあります。
ルーマニア編1巻の表紙写真と選定理由
続いて、ルーマニア編1巻の表紙デザインについてあれこれ語っていきたいと思います。

今回、表紙に選んだのはヴォロネツ修道院の青い壁画の写真。
ブゴヴィナ地方といえば、スチャバを起点に世界遺産の5つの修道院を巡るコースが観光ルートの王道ですね。
その中でも、ヴォロネツ修道院は鮮やかなヴォロネツ・ブルーの壁画が有名で、保存状態もいいことで知られています。
採用した写真は、青を基調とした繊細な色彩は視覚的にもインパクト抜群で、ルーマニアらしさと旅情が一目で伝わるため、表紙映えに関しては文無し。建物の曲線や装飾が美しく、構図が整っている点も〇。
ちなみに1巻では
異国の祈り/静寂な村/東欧の青/姉妹のまなざし/時の蓄積
といった要素が散りばめられているのですが、この写真なら
旅情・エモさ・歴史の深み・物語性・地元感といった世界観
も伝わり、「修道院の祈り」「彩りの村」というサブタイトルの両方にもフィットすると判断。
本当は人間入りの写真があればよかったのですが、この写真なら人無しでも神秘的なのにどこか温かく、ノスタルジックだけど新しい雰囲気もあって無機質な表紙にはなってないんじゃないかなぁ~と。
他の村で撮った写真の中にもいくつか候補はあったんですが、表紙にするならやはり適度なキャッチーさやインパクトは重要ですからね。
ルーマニア編の始まりだからこそ、ある程度「いかにもなルーマニア感」があった方がいいと思い、一番有名なヴォロネッツ修道院をチョイスすることになったというわけです。
デザイン裏話

デザイン面に関しては、kindle本は縦長サイズなので、今回はあえて全景を入れずに修道院の3分の2ほどで切った構図にしてみました。
タイトルはなるべく修道院に被って欲しくなかったので右側に詰めて、サブタイトルは左寄せに配置。さらに
・フォントは白をベースに効果でシャドウを入れてくっきりさせる
・サブタイトルだけ透過させた薄い黒の長方形ブロックを背景に敷く
という工夫もプラス。
教会の薄茶色の土台部分とサブタイトルの白文字の相性が色味的にイマイチで、少々ぼやけて読みにくくなってしまったので、この薄めの黒ブロックを配置することで字がくっきり見えるように。
ブロックの色をあーでもないこーでもないと変更しまくって最終的に黒になったんですが、こういうちょっとした地味な一手間がデザイン的な見やすさを作るポイントだったりするんですよね。
本作りにおいては面倒でも端折らない、手抜きしないのが大事だなと改めて実感しました。
ボツ案公開
さて、続いては今回の巻であえなく落選してしまった表紙候補写真をご紹介していきますね。

1枚目はフモール修道院の後ろ姿。
修道院というテーマ性は良いのですが、やや色褪せた印象と構図的に「後ろ姿」なのが少し弱いかなと。
雰囲気はあるものの、表紙としての華やかさ・引きはやや少なめかも・・・ということで、やはりヴォロネツ修道院の方に軍配が上がりました。

2枚目はチョカネスティの農作業をするおじさんを写したもの。
チョカネスティの素朴な田園風景と人々の営みが伝わる「地元感」が魅力の1枚。ただ、修道院の壮麗さと並ぶとやや地味な印象になり、第1巻のインパクトとしては控えめ。旅の途中ページに挟むのにはよさそう。
裏表紙写真

ペーパーバック版の裏表紙に選んだのは、バマ村のイースターエッグ博物館でのワンショット。
ブゴヴィナ地方ではイースターエッグが伝統文化として根付いており、カラフルな装飾が施されたイースターエッグはこのエリアを代表するお土産としても人気らしいです。

博物館で見た多種多様なイースターエッグが本当に美しかったので、どうにかしてどこかでお披露目したいなと思っていたところ、裏表紙に載せることで無事解決しました。
写真で振り返るルーマニア旅行エッセイ第1巻・ヤシ編
さて、ここからは旅行中に撮った豊富な写真とともにルーマニア編第1巻の内容をザザッと振り返りつつ、個人的な想いやエピソードを紹介していきたいと思います。

まずはルーマニア編始まりの町・ヤシ。お隣の国モルドバの首都キシナウからバスで入国。ここでの滞在はたったの1泊でしたが、いい具合に骨休めできたような気がします。

まずは到着を祝って、その日の夜は少し豪華なイタリアンディナーで乾杯!ルーマニアワインもせっかくなので飲んでみましたよ。
美味しいイタリアンで英気を養い、ここから私たちのルーマニア旅がいよいよスタート!
写真で振り返るルーマニア旅行エッセイ第1巻・グラフモール編
翌日はヤシから北上してブゴヴィナ地方のグラフモールという町へ。この町を起点にして、世界遺産にもなっている5つの修道院のうち2つの教会を自力で巡ることに。
フモール修道院

まず最初はフモール修道院を観光。実はここに辿り着くまでにすでに地元の人々の親切なサポートに助けられていた私たち。ブゴヴィナの人、本当に優しい。

隣接した別の教会も観光。ここでも意外なところに日本人の痕跡が。思わぬ交流が生まれて、旅らしさを感じること山の如し。

教会付近の道には羊飼いのおじさんが歩いていたりと牧歌的な光景が広がっています。
ヴォロネッツ修道院

お次はヴォロネツ修道院へ。ここは本当に見ごたえ抜群。

教会に隣接したお土産コーナーには名物のイースターエッグがてんこ盛り。

路上には地元産の自家製蜂蜜売りの露天商も。色々味見させてもらいました。
写真で振り返るルーマニア旅行エッセイ第1巻・バマ編

教会巡りのあとはブゴヴィナの田舎村・バマへ。ここにやってきた目的は、エッグミュージアムを見ること!
バマには有名なイースターエッグの絵付け職人(女性)がいて、その人が建てたイースターエッグの博物館があるのです。ここは今回のブゴヴィナ観光で絶対に行きたかった観光スポットの1つ。
バマで泊まったゲストハウスと宿の食事

たった1泊しか滞在しないのが惜しいほどに、ここで泊まったゲストハウスが居心地よすぎて最高でした!とにかく部屋が可愛すぎる!

乙女心を刺激する素敵な内装で、見た瞬間にときめきMAX!



優しくて面倒見のいいオーナー親子。とても気さくでフレンドリーでいい人たちでした。彼女たちのおかげで地元の男性との「突撃テレフォンコール」が生まれ、日本とルーマニアの架け橋的なエピソードが爆誕!
詳しくは本編をご覧ください。

バマ村で印象深かったのは爆裂に美味しすぎる朝ごはん。

オーガニックな素材をふんだんに使ったメニューは、全て手作りだというから驚きです。写真はベーコンオムレツ。

自家製の苺ジャムは自然な甘みと酸味が優しい味わいで、これをパンに塗ればいくらでも食べられそう。

飼っている牛から搾ったミルクから作った自家製バターのコクとまろやかさがもはや神!!

搾りたてのまだ出来立てほやほやの温かいミルク。これ、一生忘れられないほどの美味しさでした。ここで食べた朝ごはんは本当に衝撃でしたね。
バマ村観光記・教会で日曜礼拝とエッグミュージアム

バマ村では朝早く起きて教会へ向かい、日曜礼拝に参加。これもちゃんとそれなりに目的があったんですがね、ちと不発に終わりました。

そして、いよいよお待ちかねのエッグミュージアムへ!
カラフルで細かい装飾に彩られた数々の作品群はまさにアートそのもの。こんなに素敵なイースターエッグを見られるなんて・・・。まるで宝石みたいです。

せっかくなのでイースターエッグのお土産もゲット。割れないように大切に保管して無事日本まで持ち帰りました。

この博物館では、一生分のイースターエッグを見たような気がします。職人さんてすごい・・・。
写真で振り返るルーマニア旅行エッセイ第1巻・チョカネスティ編

楽しかったバマをあとにして、ブゴヴィナ編の最後に私たちが訪れた村は・・・とても辺鄙な場所にあるチョカネスティ。
ここは本当に大好きな場所なのですが、いかんせん行くのが結構大変。公共交通機関では行けないので、ルーマニアに入ってから初めての長距離ヒッチハイクにトライすることになりました。
ドキドキの結果は、是非本編でご覧下さい。

チョカネスティはカラフルな模様に彩られた家の外壁で有名な村。かなりマニアックな場所なので、多分今まで行った日本人はいないんじゃないかと・・・。

家ごとに違う模様が描かれているのですが、こういった文化はルーマニアでもここだけの独特なものなんだとか。

たまたま外壁塗装をする村人を発見。暇人な私たちはじっくりとその様子を観察しました。絵付けの様子を見られるなんて貴重な機会でなかなかないので面白かったです。
チョカネスティで宿泊したゲストハウスと手作りの食事をご紹介

チョカネスティで泊まったゲストハウスもこれまたバマに引き続き、非常にアットホームで素敵なお宿でした。たまたま他に宿泊客がいなかったので意図せず貸し切り状態だったのもラッキー。

心優しいオーナー夫妻。ルーマニア語が話せない私たちのことを何かと気遣ってくれました。一緒に夕飯食べたのもいい思い出。彼らとのトークもなかなか面白かったです。詳細は本編でどうぞ。

料理上手なお母さんが作ってくれた素朴なスープが胃袋に染みる。

ルーマニアのチェリー酒・ヴィシナータで乾杯!アルコール度数は結構高めだけど甘くて飲みやすいお酒でした。

こちらは朝食。ふわふわの卵焼きの味が濃い!チョカネスティも基本は自給自足の生活で、ここでいただくご飯も全て自然の素材から作られているんだとか。

自家製バターをパンに塗るとそれだけで幸せな気持ちに。丁寧な暮らしっていいなぁ。
チョカネスティ観光と街歩き♪村人の暮らしを観察

チョカネスティは本当に小さな村なので特に観光するスポットもありません。しかし、のどかな村を適当にブラブラ歩いているだけでも非常に癒されます。


とにかく出会う人出会う人、皆優しくて、それがすごく印象深かったです。泊まった宿のオーナー夫妻にしろ、たまたま話した村人にしろ、彼らの温かい人柄のお陰で最高に素敵な思い出が作れました。
ここで過ごした日は忘れない・・・!
ブゴヴィナでは沢山の心温まる地元の人々との交流があって、困っていた時は大いに助けられました。彼らの優しさには本当に感謝です。
おわりに

「祈りは、色となって村々を彩る。そんな物語をあなたへ。」
さーて、そんなわけで『姉妹で旅する世界エッセイ ルーマニア編1彩りの村と修道院の祈り──ヤシからチョカネスティ、ブゴヴィナの小さな旅』のセルフライナーノーツを書かせていただきました!
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
有名な世界遺産の修道院から、地図にさえ載らないような小さな村の路地裏まで。私たちの旅は、常に「知る人ぞ知る、等身大の美しさ」を探す旅でした。
「普通のツアーでは決して行かないような場所だからこそ、そこに本物のルーマニアがあった。」
・・・今思えばそんな風に感じています。
今回のブログ記事では写真を中心に旅の輪郭をなぞりましたが、Kindle本『姉妹で旅する世界エッセイルーマニア編1』の中には、写真だけでは切り取れなかった「街の匂い」や、その時々の「私の心の独白」をさらに濃密に閉じ込めています。
ネットの情報だけでは辿り着けない、現地の温かな鼓動を1冊のエッセイに凝縮したので、木造教会の静謐な空気や、朗らかな村人たちの笑顔を、ぜひ本書で一緒に体験してください。
「ブゴヴィナの風を、あなたの手元に」

電子書籍なら気軽に、ペーパーバック版なら、美しい表紙とともに「旅情に浸れるとっておきの物語」として手元に置いておくのにも最適です。
コーヒー片手に是非ルーマニアのエモーショナルでドラマチックな旅を心行くまで味わってみて下さい♪
>>Amazonでチェック:『姉妹で旅する世界エッセイ ルーマニア編1』Kindle・ペーパーバック版
この後、旅はルーマニア人の心のふるさと・マラムレシュ地方やハンガリー系ルーマニア人が住まうカロタセグ地方、そしてドラキュラ伝説の残るトランシルヴァニアへと続いていきます。
まずはこの「静かな祈りの地」から、私たちのルーマニアの物語を一緒に始めていただけたら嬉しいです。