こんにちは、ふるもーすです!
実は、初めてのKindle絵本『あやしいサーカス』を出版しました!
タイミング的に色々バタバタしていて紹介もできなかったので、今回は手に取ってくれた読者の方への感謝と出版報告も兼ねてセルフライナーノーツを書いていくことにします。
この記事では、
・作品に対するちょっとしたこだわり
・創作への熱い想い
・大変だったエピソード
・作品に隠された仕掛けや秘密
なども含めて創作の舞台裏を含めて種明かししていきますね。そう、それこそあやしいサーカスに出演する手品師のように・・・。
それでは、しばしお付き合い下さい!
どうしてサーカス?可愛いキャラクターに隠されたシュールな毒
ついに開幕。『あやしいサーカス』の世界へようこそ!
記念すべき処女作にして初のkindle絵本。
気になるテーマは・・・ズバリ、『サーカス』!!はてさて、物語の主人公はというと・・・??

実は、今回の作品では恒例のビーバーとビーすけという2匹の兄弟が出てくるかどうかは定かではありません。作品の中で名前も出てこないし、このキャラがビーすけといった文言もはっきりと明示されてはいません。
これはわざとです。でも、絵を見る限り
「多分こいつはビーバーだな」
「このマヌケそうな動きはきっとビーすけの方だな」
という風に、なんとな~く想像が働くのではないかと思われます。
彼ら自身がサーカスの主催者なのか、団員として活動しているのか、そもそもなぜ2匹がサーカスにいるのか?
・・・全て謎です。そこにはあえて触れていません。各々で色々妄想を膨らませて下さい。読者の想像の余地を残しておくのも絵本のたしなみだと思いますので・・・ニヤリ。
たまたま作ったフェルト作品が絵本誕生のきっかけに

今回、なぜサーカスの話を書こうと思ったのか?
まずはそこからお話していこうかなと。これにはいくつか理由があるのですが、まず単純に私自身がサーカスのモチーフが好きでいつか絵にしたいなと考えていた、というのが理由の1つです。

サーカスってあの派手派手なテント小屋もそうだし、ピエロだのナイフ投げ師だの火吹き男だの象使いだの、中二心(?)をくすぐる要素が満載じゃないですか。
衣装も設定も含めて、絶対イラストにしたら楽しいだろうな~って前々から思ってたんです。
最初は普通にサーカスのイラストを描こうとしていたのですが、たまたま当時フェルト作品を作っていた時期と重なったため、その流れでサーカスをイメージした布絵を1枚制作してみることに。
・姉である私が下絵とデザイン担当
・お裁縫が得意な妹がこの絵を元に縫い付け担当
とうまい具合に役割分担し、手先が器用な妹がかなり細かい部分も含めてちまちま縫ってくれて、こうして絵本の元となるサーカスのフェルト作品が完成!
いつものほっこり系の雰囲気とは違う、大分大人っぽいテイストに仕上がった作品を見て「これはいつかイラストでもちゃんと描きたいな」と考えるようになりました。
・・・そのまま時は流れ、数年程が経った頃。そろそろ絵本作りたい!という気持ちがむくむくと湧き上がってきたのです。そこから着手までは結構早かったような気がしますね。

最初は手描きのアナログイラストにする予定だったので、絵本にするなら絵が沢山必要だから1枚1枚楽しく描けるテーマがいいなと考え、
「サーカスをテーマにしたらいいのでは?」
と思い立ちました。
せっかくならシーンごとに色々な演目をキャラに演じさせたらより楽しいんじゃないか?ということで、徐々に絵本の構想が固まっていきます。
最初は思い付きで作ったフェルト作品が、こうして1冊の絵本となって復活するとは・・・。自分でも想定外でした。いやー、人生何が起こるかわかりませんね。無駄なモノなんて一つもない、本当にそう思います。
あえてほっこりではなく大人向けのダークファンタジーになった理由

サーカスをテーマにすると決めた時、
「どうせだったら怪しげでダークなテイストにしたい!」
と、またまた中二心が湧き出てしまったワタクシ。
元々エドワード・ゴーリーが好きで、ああいうちょっぴり怖くてシュールなのにブラックなユーモアやコミカルさがある雰囲気が好みだったのもあり、
「ふるもーす版でエドワード・ゴーリー風の絵本を作ってみたらどうなるだろう?」
と悪魔の囁き(?)があったりなかったり・・・。その結果、普段のテイストよりも大分シックで大人っぽい雰囲気の作品に仕上がりました。
初めてのデジタルイラストで描く、怪しくも美しい「光と影」
絵本を作るにあたって、まずはイラストを用意しなければなりません。
・1枚ごとにキャラクターメインで描きたい
・キャラの可愛さを全面に出したい
・キャラ重視なので細かい背景はあえて描かない
と大まかな構図のイメージは当初から頭にあったのでネタには困らなかったものの、背景については少々考える余地あり。

・全ページ背景を白で統一する
・それぞれのページごとにキャラを登場させる
このような構成だとありきたりすぎてつまらないかも?と思い、あえて黒一色で塗りつぶしてみたらどうなるだろうか?と閃いてしまった私。

試しに、デジタルで白と黒両方の背景を作ってみたところ、黒い背景の方が断然雰囲気が出てグッと世界観が引き締まると感じたんですよね。
当然、即採用。これでなんとなくのイラストの方向性が見えてきました。
絵本に使用する絵をデジタルで描いた理由

実は、当初この作品はアクリル絵の具で描こうと思っていました。

だから、一応水彩紙に15枚分の下絵を1枚ずつ鉛筆で描いて、すぐに色を塗れる状態にまで下準備は整えておいたんです。
しかし、背景を黒にしたことで
・最初に画用紙を黒で塗ってしまうと後から下絵を写せない(黒だから透過しない)
・後から背景を黒で塗る場合キャラに全部マスキングを施さねばならない
という面倒な工程が発生してしまって。
要は、黒の背景の上から下描きをトレースボックスの光で透かして絵を写すというのが出来ないんですよね。
もちろん、下絵通りにきっちり描かずにフィーリングで色を塗っていくのなら、黒色の上から絵の具で重ね描きしていくことは可能です。
でも、自分の場合そこはしっかりこだわりたい部分でもあったり・・・。かといって、マスキング作業を15枚分全部やるとなるととんでもなく時間がかかりそう(汗)。

・・・というわけで、急遽方針変更!アナログではなくデジタルで着彩することにしました。
まずは1冊完成させることが最優先。着彩の手段に関しては、とにかく絵本を作ってみるという単純な目的のみにフォーカスし、作業のスピード感を重視しました。
怪しくて華やかなサーカスの世界観を表現するための色彩
サーカスの「あやしい空気感」を表現するため、カラーの色味もなるべく黒に映える鮮やかな色彩になるようこだわったつもりです。

一番のお気に入りは蛇使いのシーン。衣装のターバンや蛇の模様、サーカスのガーランドも含めて、いい意味での派手さやギラギラ感を表現できたのでは?なーんて思ったりして。
色がビビットすぎてる目がチカチカしてしまうので、ソフトなトーンなんだけどパッと目を惹く色合いになるよう、色の組み合わせもトライ&エラーで調整に調整を重ねました。
その結果、いかにもサーカス!という華やかさも出せたのではないかなと個人的には思っています。
黒い背景を活かすための線についてのこだわり

今回のイラストは背景が真っ黒。なので、キャラクターの線画部分を通常と同じように黒にするとそのまま背景と同化して埋もれてしまいます。
・線を白くする
・各部位ごとに線を同系色に変更する(胴体なら茶色の線、青いターバンなら青い線とか)
・いっそのこと線なしで塗る
といういくつかの打開策(?)を実際に画面上で試した結果、今回はあえて線なしのイラストを描くことに決定!

正直、自分の中でも初めての試みだったのでどうなるかなーと思たんですが、出来上がったイラストを見た時に「これはこれでデジタルだけど絵本感が出てていいかも!?」と感じました。

線で縁取りしないからこそ、キャラのフォルムや衣装の模様等を端から端までしっかり塗り潰しておかないと全体的にぼやっとした絵になってしまいます。
背景の黒とキャラクターの境目をちゃんと出せるよう、その辺は結構気を付けましたね。
あれこれ準備したつもりでも、いざ着彩の段になって「頭の中で思い描いていたイメージとは異なる状況や問題が出てくること」ってお絵かきあるある。
やっぱり、なんだかんだで実際に描き始めてみないと分からない部分ってあるよな~と改めて実感した次第です。それも含めての創作のリアルというか。舞台裏は意外と大変なんです・・・笑
声に出して、ニヤリ。同音異義語とリズムで織りなす「言葉のあやしいマジック」

今回はテーマもタイトルもイラストもあやしさ満点。・・・なんてったってあやしいサーカスですからね。
当然お話そのものも怪しくせねば!という謎の使命感に駆られた結果、ストーリーもブラックユーモアやジョークをふんだんに取り入れた「あやしい話」になりました。

この絵本は、ページをめくるごとに怪しいサーカスの演目が次々と幕を開ける・・・という構成になっています。
実は、イラストだけでなく「言葉」にもたくさんの悪戯(いたずら)を仕掛けてあるんですよ。

散文詩のような独特のテンポ感や歯切れのいいリズム感を大切にしながら、日本語ならではの「同音異義語」を散りばめたり、韻を踏んだり、クスッと笑えるダジャレのような要素を混ぜ込んだりしています。
ある意味歌の歌詞のように感じられるかも知れません。
目で追うだけでもシュールで面白いのですが、この絵本の本当の秘密は【音読】にあります。声に出して読んだとき、初めて耳の奥でピタッとパズルがハマるような、奇妙で心地よいリズムを意識して言葉を紡ぎました。

それこそ外国の絵本、エドワード・ゴーリーやマザーグースのような、強弱のリズムや似たようなフレーズを展開させて繰り返したり、韻を踏むといった、言葉と音の面白さを存分に味わえるような文章にしたくて。
・物語性
・状況説明
・ナンセンスさ
・ユーモア
・オチがちょっと怖い
といったエッセンスを絡めつつも、いかに音で楽しく絵本の世界を表現するか?を自分なりに追求した結果、かなり満足のいく文章になりました。
ついつい声に出して読みたくなるような言葉遊びをシーンごとに考えるのは結構大変でしたが、自分としては新たな作風が生まれたのでこれはこれでアリだな、なんて思ったりして笑
ぜひ大人の方も、夜の静かな部屋で、あやしい呪文を唱えるように声に出してページをめくってみて下さい。
産みの苦しみと試行錯誤。Kindle絵本出版という高すぎる壁

このあやしいサーカス、記念すべき初のkindle絵本作品となったわけですが、1冊の本という形にするまでが非常に大変でした。
電子書籍バージョンだけならまだよかったんですが、
やっぱり絵本といえば紙の本でしょ!
という自分の中での譲れないこだわりから、紙の書籍(ペーパーバック版)にチャレンジしたことで想像以上の苦難に直面する羽目に・・・。

イラストや文章の作成という作品に直結する作業以外に、本来なら専門外の
・文字や絵の配置やページ構成
・寸法やサイズに関する独特なルール
・Kindle特有のフォーマット
などを知識ゼロの状態から勉強していかねばならず、制作中に直面したトラブルは数知れず。

特に、紙の本独特の裁ち落としやらマージンやらトンボやらの概念が理解しにくくて、ちゃんとフォーマット通りに作ったのに何度もエラーになった時は心が折れかけました。

絵本ならではのレイアウト崩れ、固定レイアウトの書き出しの難しさ、Amazonのアップロードでの試行錯誤etc・・・
1つ壁を乗り越えて1歩進むたび、また別の問題が発生して「ぬあぁぁぁ~~、またかよ!!」と思わずさじを投げたくなること山の如し。マジでこんなに面倒なら電子書籍だけにしておけばよかったと後悔したほどです。

そもそも、電子書籍は電子書籍で縦型のサイズになるので文章や絵のレイアウトも紙の本とは全く異なるゆえ、これはこれで作るのが面倒でしたし・・・。

だけど、それでも「この世界を最高の形で届けたい!」という熱い情熱がメラメラ燃えていたのも事実で、ここで大変だしうまくいかないからって理由で出版を諦めたくなかったんですよね。
「絶対に形にするんだ!ビーバーたちの可愛さを、ふるもーすの世界観を1冊の本にしてこの世界に誕生させたいんだ!」
そんなほとばしる心の叫びを胸に、度重なるエラーと出版拒否(?)にもめげず、アホの一つ覚えみたいにAmazon(KDP)に出版申請をし続けました。
審査が通った通知を見た時は本当に嬉しかったです。
飾っておきたいコレクション性を意識して正方形の絵本に

この作品はペーパーバック版だと正方形サイズの絵本を想定して制作しました。だからイラストも正方形です。これは何故かというと、家のインテリアの一部として飾っておけるような見た目にしたかったから。
一般的に出回っている絵本って、縦長か横長の長方形サイズが多いイメージですよね。でもこの形状だと表紙を見せた状態で棚やブックシェルフに飾るとなると、ちょっと収まりが悪いような気がしていて。
一方、正方形の絵本だと本は本でも装飾品としても成り立つというか。

昔、インドのチェンナイに行った時に現地の絵本出版社「タラブックス」に足を運んだことがあるのですが、展示スペースに飾られていた絵本がどれも正方形の本だったんですよね。

で、それを見て「絵本なのにどこかおしゃれな雰囲気があって素敵だな」と感じまして。子供向けの絵本だったとしても、イラスト集やアート作品のようにも見える「視覚的な美しさ」があって個人的には結構目から鱗だったんです。
「飾っておきたくなる」
「コレクションしたくなる」
「所有する喜びや満足感」
これらの感覚って電子書籍だと生まれないじゃないですか。デジタルでは味わえないアナログ作品だからこそのメリットがあるよなぁ・・・と思わされました。
あやしいサーカスに関しては、作品の世界観がちょっとブラックでダークな大人向けファンタジーということもあり、正方形サイズにすることでアート感も出るかなと思い、あえて変形サイズで制作。


「どの判型を選ぶか?」で作品の印象も変わってきますし、こういうのも実際に絵本を作ってみないと分からない部分でしたね。
ライナーノーツを読んでからもう一度楽しむ絵本の「見どころ」

さて、そんなわけで、様々な試行錯誤の末に完成した処女作「あやしいサーカス」。
個人的には、登場人物の可愛らしさとともに、シュールでナンセンスなストーリーと言葉遊びをふんだんに駆使した文章を思う存分味わって欲しいですね。
ちょいちょい突っ込みどころも作っているので、ページをめくりながらクスリと笑ったり、ビーバーたちの表情や動きに注目したりしながら、風変わりであやしいサーカスの世界観に浸っていただけたら嬉しいです。
このサーカスは一体・・・?
彼らは結局何者なの・・・?
と読んだ人がそれぞれ勝手な想像を巡らせながら、あやしいサーカスの実態やその後を考えたりしてくれたら作者冥利に尽きますね。

読後に頭の中で特定のフレーズがぐるぐるリフレインしたり、気に入ったセンテンスを無意識に口ずさみたくなっちゃったり、そのうち訳もわからず楽しい気分になってきちゃうかも知れません。
絵本って物語を楽しむのもそうですが、読んだ人の想像力や空想力を育むものでもあると思うのです。この作品を読むことで、普段眠っている右脳が少しでも活性化されるきっかけになればいいなぁ、そんなことを想ったりして。

そして出来れば、絵を見ると同時に是非文章の音読もしてみて下さい。一度読めばきっと言葉のリズムが癖になるはずです。

そうなった時にはもう、あなたはいつの間にかあやしいサーカスの団員に加えられていることでしょう・・・ふふふ。
ウズベキスタンのサーカスに連れて行った「わが子」

これは完全に余談なのですが、実は2025年秋にウズベキスタンに行きまして。
首都タシケントでたまたまサーカスが行われているという事がわかり、自分の絵本を持ってきていた私たちはサーカスのテント前で記念撮影をすることに成功!笑

サーカスの演目名もまさかの「MOS Ice(モスアイス)」というタイトルで、こんな偶然あるのかとびっくり。
リンク上でフィギュアスケートしながらアクロバティックな動きやファンタジックな世界観が繰り広げられ、まるでその時だけ別世界に迷い込んでしまったかのような感覚に陥って大興奮しちゃいました。

これまで、シルクドソレイユや中国雑技団、マッスルミュージアムといったショーしか見たことなかったので、ちゃんとしたサーカス(今回はフィギュアスケート風でしたが)を見るのはこの時が生まれて初めての体験。
それもあってめちゃくちゃ楽しかったし、自分の絵本と一緒にサーカスデビュー出来て地味に嬉しかったですね。
まとめ:あやしいサーカスのテントの幕は、いつでも上がっています

そんなわけで、あやしいサーカスのセルフライナーノーツを書かせていただきました。
初めての絵本制作、初めてのkindle出版。本当に初めてのことばかりで、苦労と学びと色々な体験ができた思い出の1冊です。
ちなみに、この記事を描くにあたって本作を読み直していたのですが、この間購入したルピシアの『カヌレ』の紅茶を飲みながら、このあやしい世界に没頭していました。

あの甘くほろ苦い香りが、この絵本のラストの余韻にちょっぴり影響を与えているかもしれません・・・なーんて。
みなさんも、ぜひお気に入りの温かいお茶を片手に、夜の静かな時間にページをめくってみてくださいね。
「このお話が、大人のみなさんの退屈な夜の、小さな刺激になりますように」

「・・・絵を描く時、物語を綴る時、いつもあの国の風景が心に浮かびます。旅の記憶をインスピレーションに変えたエッセイシリーズも、ぜひ覗いてみてください」
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