こんにちは!ふるもーす(@frumosart)です!
自分にとって初めてのKindle絵本作品となった『あやしいサーカス』。
タイトル通り、怪しげな雰囲気とちょっぴりヘンテコなキャラクターたちが織りなすダークファンタジーな世界ですが、実はこの絵本、「デジタルイラスト」で描かれています。
「デジタルってことは、最初から最後までPCの画面上でペンを動かして、あらゆるテクニックを駆使してパパッと色を塗って完成?」
・・・いえいえ、そんなスマートなものでは全くありません(笑)。

私のデジタルイラストの根底には、いつも「アナログの手仕事」が潜んでいます。
今回は、普段なかなか見せる機会のなかった何十枚もの制作中の写真とともに、絵本の1ページが生まれるまでの泥臭くて愛おしいステップを備忘録がてら初公開しちゃいます!
お気に入りの紅茶でも飲みながら、サーカスの楽屋裏をそっと覗くような気持ちで楽しんでいっていただければ。・・・さぁさぁ、それでは、はじまりはじまり~♪

工程①:命が宿る最初の瞬間。画用紙と鉛筆の「線画」

ようこそ、カメラの回っていない「あやしい楽屋裏」へ。
絵本のイラストを作るにあたって、まず最初にやったのは下絵作り。自分が描きたいサーカスのイメージを思い浮かべながらアイデアを練るという地味なところから作業はスタートしました。
白紙に向かって鉛筆を走らせ、謎の落書きのような物体を書き散らしてはあーでもない、こーでもないと頭を捻りつつ、各シーンごとに1枚ずつ下絵を描き起こしていきます。

全ての始まりは、パソコンの画面・・・ではなく、真っ白な画用紙と一本の鉛筆。
ピエロの不敵な口元、動物たちの躍動感のある動きや輪郭は、鉛筆が紙をこする微かな音の中から生まれます。やっぱり、この「手で直接描く」瞬間にしか出ない生々しいエネルギーがあるんですよね。
工程②:デジタルへの架け橋。鉛筆の下描きスキャンとクリスタへの読み込み

鉛筆で大まかな下絵が描けたら、これを1枚ずつスキャンアプリでスキャンして16枚分全てをデジタルデータ化。

それを今度はクリスタに読み込めば、鉛筆の下描きを元に線画を作っていける、というわけです。
紙に描いた愛おしい我が子たちを、文明の利器を使ってデジタル世界へお引っ越しするイメージでしょうか。
クリップスタジオ(クリスタ)に読み込んだ瞬間は、まだ色もなくて寂しい状態ですが、
「よし、ここから彼らにどんな色の衣装を着せて、どんな雰囲気のサーカスにしていこうか?」
と、一番ワクワクが膨らむ瞬間でもあるのです。
工程③:デジタル上の「骨組み」を作る。下絵をなぞって線画作成

鉛筆の下絵をクリスタに読み込んだらようやく線画作り開始!読み込んだ鉛筆の線をガイドにして、ペンツールで1体ずつ丁寧になぞり直していきます。

ここはただなぞるだけじゃなくて、
「全体的に少し線を太くして丸みを出そう」
「もっと怪しさを出すためにうねうねさせよう」
と、線の強弱でキャラクターの表情を再構築していく、いわば「キャラに命を吹き込む」作業でもあったり。非常に地道だけど絵本作りの基礎となる大切な工程です。

絵本の記念すべき最初のページ。このあやしいテント小屋で毎夜行われる風変わりな見世物とは・・・?

個人的にビーバーとビーすけのお尻のプリッとしたフォルムとくびれ(?)にはこだわっているので、プリケツ感を出すためにここだけはいつも以上に気合を入れてペン入れしました笑
コミカルでシュールでちょっぴり怪しげな雰囲気を出せたので自分としては満足しています。

イラスト制作の中でも線画を描く作業は一番好きなのですが、さすがに16枚分描くのはなかなか大変でした。

最初から下絵もPCで描けばいいのかも知れないけれど、それだとなんとなく勢いが出ない感じがするんですよね(自分比)。

面倒でも「最初の下描きはまっさらな白紙や画用紙に鉛筆で」。・・・というのが制作における自分のちょっとしたこだわりというか儀式なのかも知れない。そんな風にも思ったりして。

気分が乗ってくると不思議と線も生き生きとしてくるような感じがするのは気のせいでしょうか??
工程④:作品の雰囲気を左右する色決めで世界観を形作る

下絵をなぞって線画を完成させたら、お次は『キャラクターや建物・衣装等をどんな色で塗るか?』を決めていく作業へ入ります。
アナログイラストと違ってデジタルイラストは、自分が塗った色がイマイチだった場合すぐに訂正できる点がいいところ。
サーカスがテーマなのでなるべくカラフルなテイストがいいなと思い、試しにピエロになったビーバーの頭を派手な色で塗ってみたら・・・。
大分アヴァンギャルドな感じになってしまったのでボツにしました笑

最終的には背景を黒にするので黒に負けない色を探さなければなりません。
あれこれ試してどんな色が一番合うか?しっくりくるか?を見つけていく作業はある意味実験のようなもの。

あーでもないこーでもないと濃淡様々な色を塗ってみては、やっぱりやめてこっちの色の方がいいかな・・・と消しては再度塗り直す。
とても面倒臭くて手間がかかる作業ですがそれと同時にやりがいもあります。
ここで妥協したら全体のバランスが狂ってしまうので、時間はかかるけれど絵本作りにおいては大切な作業なのだと自分に言い聞かせながらやっていました。
工程⑤:サーカスの夜を灯す。デジタルで「着彩」の魔法

ふぅ~。とりあえずキャラクターや小物等の色を決めるところまではいきました。ここからはいよいよ実際に色を塗っていく作業に入ります。いわば本番ですね。

基本的に着彩はベタ塗りなので色さえ決まってしまえば後は結構ラク(だと思っていた)。
順番としては
メインキャラクター→建物や背景に出てくる景色→サブキャラ→キャラクターの服や小物→その他
という流れで塗っていく感じ。

『あやしいサーカス』のテーマカラーは、闇に映える「パキッとした赤」や「怪しい紫」。これだ!という色が見つかって実際に色を置いてみた時、画面にパッと灯りがともるような気分になります。
絵を描いていて一番脳汁が出る工程ですね(笑)。

1枚絵のイラストとは違い、絵本の場合はメインキャラやそれにまつわる小道具は他のページにも複数回登場することが多いです。
なので、1つの要素は一気にまとめ塗りして一括で仕上げてしまうのが自分流。

例えばビーバーとビーすけは全てのページに出てくるので、彼らだけ16枚分ババッと塗って片付けてしまうイメージですね。

1ページずつ仕上げるとその度にキャラの色→建物の色とカラーを指定したり変更するのが手間&面倒なので、こういう方式にしています。

一気に1つの要素を仕上げることで「あ、このページのビーすけを塗り忘れた!」というような塗り漏れがなくなるのもいいところ◎

そんな風にして、地道にコツコツと塗り忘れがないように全てのページの着彩作業を粛々と進めていきます。

線画に色を塗っていく作業もちょっとした塗り絵みたいで楽しいんですよね。

少しずつ絵が形になっていくこの感じがたまらないというか。描いて楽しい、後から見て楽しいって最高な娯楽じゃないですか!?(食い気味)
工程⑥:大きな決断。「輪郭線なし」イラストへの挑戦と形のブラッシュアップ

ようやくこれで全てのイラストに色を塗り終わりました。この時点では黒い輪郭線を残して「線画をそのまま活かす絵本」にしようと考えていたワタクシ。
が・・・しかし。実は途中で大きく方向転換。自分でも予想しない行動に出てしまいました。

色を塗っているうちに
「あえて線をなくした方が、夜の闇にキャラクターがヌッと浮かび上がるような不気味さと、海外のレトロ絵本のようなお洒落さが出るんじゃないか?」
という謎の閃き、もとい天からの声が聞こえてきたのです・・・!(ホントかいな)

で、試しに主線を消してみたところ・・・これが予想以上にイイ感じ!
主線アリだとコミカルで漫画っぽい雰囲気になるのですが、線ナシだといい具合に絵本風のテイストになると判明し、
「この路線、アリかも・・・?(鼻息荒め)」
と急遽予定をまるっと変更。

あえて輪郭線をなくしたイラストにして、そのうえで全体のバランスを見ながらキャラクターの一部の色を変えたり、同系色の色を重ねてみることにしました。

そこからは、さらに果てしない作業へ突入!

なるべくいい作品に仕上げたいので、画像をいちいち拡大しては変な箇所がないかを確認すること数十回。
凸凹状態の輪郭を隙間なく塗り潰しながらキャラのシルエットを綺麗に整え、主線がないことでぼやけてしまった部分を違う色で陰影をつけたりメリハリを出したり。

はみ出た箇所は消して、逆に色が塗られていない部分は塗り足して・・・。
修正作業で手を何度も上下させて同じ動きを繰り返すので、ついに右手が腱鞘炎気味になるというハプニングも発生。

でも、この決断のおかげで、作品のクオリティが何倍も引き締まったような気がします!

線なしに変更したことで、よりあやしさもグレードアップし、絵本ぽい雰囲気も出てきたんじゃないかなと!(自画自賛)
そんなこんなで紆余曲折&苦労の末に、絵本に使う16枚分の絵が無事に仕上がりました~!
工程⑦:キャンバスから絵本へ。Canvaでレイアウト最終仕上げ

イラストの着彩を終えたところで、ここからはいよいよ出版のためのデータを作っていく作業へ。
クリスタで命を吹き込んだイラストたちをCanvaに持っていき、絵本としての形に整えていきますよ~!

お話に関しては既にテキストファイルで作成済み。これらを実際にページをめくった時と同じような見た目(見開き)になるよう編集ソフトを使って配置していきます。

タイトルや中表紙・本文のフォント・大きさも全部自分で自由に決められるので、どんなフォントがこの作品に合いそうか?を考えながら、気になるフォントを片っ端からトライトライトラ~イ!
フォントや文字を置く場所によっても、絵本の表情はガラリと変わります。これまた意外と大事な作業だったりするんですよ・・・手抜きは厳禁!
ポップな感じなのか、オサレ風に見せたいのか、はたまたミステリアスな感じにしたいのか・・・伝えたいイメージを頭に思い浮かべながらチョイスチョイスチョ~イス!
物語のあやしい雰囲気を壊さないよう、1文字ずつの間隔までこだわりながら、ついに最後の1ページが完成!

実際に自分が描いたイラストと物語を絵本と同じ左右の見開き風に配置してみると・・・おお~、これはやばい!!
それぞれの絵を単体で見た時よりも世界観がさらにハッキリ出てきたような気がして、自分で描いた絵なのになぜかすごくワクワクしてきてしまいました。

絵本作り、めっちゃ楽しい・・・!!
1ページずつ編集しながら、この何とも言えない興奮を噛み締め、思わずガッツポーズしている自分がいました(笑)。
まとめ:完成したショーの、幕が上がります

さてさて、そんなわけで鉛筆の1本の手描きから始まり、何度も試行錯誤して、線をなくし、色をこだわり抜いて出来上がった『あやしいサーカス』。

こうして振り返ってみると、デジタル作品ではありますが、中身はものすごく泥臭い「手作業の連続」でできていることが自分でもよく分かります(のんびりお茶を飲む暇もないくらい、画面に齧り付いていました笑)。
だからこそ、画面をスクロールしたとき、あるいは紙のページをめくったときに、デジタルなのにどこかホッとするような、独特の温かみを感じていただけるはずです。

私はお話を考えたり、絵を描くのが好きなので、これらを両方表現できる絵本作りはまさに自分にとってぴったりのツールだなと感じています。
1枚1枚仕上げる度に嬉しさとワクワク感と子供の頃のようなピュアな衝動がこみあげてきて、制作そのものがとても楽しかった・・・!
電子書籍とペーパーバック(紙の本)で紙面構成や配置が異なるため、両方のデータを作らないといけないのがちょっと大変でしたけども・・・(笑)。
初めて作ったオリジナルの絵本、それはまさに自分の子供のような存在です。
創る幸せ、それが形になる幸せ、そして自分で自分の作品を読む幸せ。
これらを体験できたことが私にとって得難い経験となりました。ようやく自分のイメージや世界観を絵本という形で世に出せて、本当に嬉しい気持ちで一杯です。
たくさんのこだわりと愛情を詰め込んだヘンテコなサーカス。
今夜、あなたも観客席の一番前で、この不思議なショーを目撃してみませんか?
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