こんにちは!ふるもーす(@frumosart)です!
今回は、絵本用のアナログイラストを描く場合の工程について説明したいと思います。
kindle絵本2作目「ムシムシ王国のぼうけん」をペーパーバックと電子書籍の両方で出版しました。前回はデジタルイラストでしたが、この作品ではアクリルイラストで絵を描くことに。
【ムシムシ王国のぼうけん仕様】
・判型⇒A4横長サイズ(297×210)
・本文32ページ構成
・本文15枚、扉1枚、表紙1枚計17枚の絵を作成
・使用画材画材⇒リキテックスプライム&アクリルデネブ
この記事では、ムシムシ王国のぼうけんの原画ができるまでをメイキング風にしてお届けします。
デジタルやAIのイラスト生成が全盛の今、
・昔ながらのアナログなイラスト制作に興味がある方
・絵本のイラストってどうやって作られているんだろう?と気になる方
は是非読んでみて下さいね。
そして、私自身のリアルな手仕事から生み出された絵本について、少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。

絵本制作工程①:ストーリーと絵を考えて絵コンテを作る
ムシムシ王国のぼうけんは、以前YouTube動画やインスタグラムで投稿したお話が元となっています。
今回の作業は、元からあるストーリーとイラストを絵本用にカスタマイズするところからスタートしました。
・自分が描きたいシーン
・各シーンに合わせた文章
をザックリと考えつつ、各ページごとにイラストと文を振り分けて全体の構成を考えていきます。

この時、絵コンテを作って作業したらビジュアルとして理解しやすいので便利でした。
・表紙
・扉
・本文
・奥付
の順番で絵と文章を見開きで1セットに配置して、絵本の全体像をしっかりと把握しておくことで、必要なシーンや要らないシーンの取捨選択も容易になります。
物語の本文は予めテキストファイルに文章を打ち込み、原稿を作っておきました。
絵本制作工程②:下絵作り(線画)と下描きの清書・印刷

描きたいシーンが決まったら、まずは下絵を鉛筆で描いて大まかなラフ画を制作。この作業で使うのは100均の画用紙で十分。

ラフ画を作ったら、トレース台を使ってスケッチブックや画用紙に一度清書します。トレースの際は、セロファンテープで四隅を固定して元の絵がずれないようにするとしっかりなぞれますよ。

清書した絵本用のアナログ線画を、今度は全てプリンターで印刷します。本番では線画を画用紙に転写(鉛筆使用)するので、線画のコピーのストックがあると何かと安心なのです。
絵本制作工程③:デジタルで試し塗りと色決めをしてダミー絵本を作る

今回はアクリル絵の具を使ってイラストを描いていきます。デジタルと違い、アナログ的な手法だと色を塗り間違えると修正に時間がかかるため
・予め何をどんな色で塗るのかを事前に決めておく
・お手本となる色見本のようなものを作っておく
ことが大切。

まずは
・線画をスキャンアプリで全てデータ化
・線画をクリスタに読み込み
してから、取り込んだ線画を任意の色で塗っていきます。
予めデジタルでお試しの着彩をしておくことで、実際に絵の具で描く時もどんな色にするか?をイメージしやすくなります。

元々YouTubeで作っていた作品を絵本にするので、カラーイラストはすでに制作済み。
そうは言っても、絵本版では主線なしのイラストを描く予定だったため、改めて着彩イメージをしっかりと作っていく必要があったんですよね。だからこそこの工程を入れてみました。
下描きを印刷用のデータにして保存しカラー印刷

デジタルで作ったカラー見本はRGBモードなので、印刷に適したCMYKのデータに変換して別名保存。
作ったデータを本番と同じA4サイズの紙に全てカラー印刷して、実際の色味を確認します。ここで違和感がなければ、これらの下絵を参考にしてアナログ用の色味を考えていくって感じでしょうか。
ファイリングして絵本になった時のイメージを確認

印刷したイラストは全てをA4サイズのクリアファイルに1枚ずつ入れて、見開きのダミー絵本のようなものを作ってみました。
今回は横書きの絵本なので印刷した紙を
・絵を左ページ
・本文を右ページ
に入れることで左開きの本の構成になります。
実際に絵を描く際は、これをお手本にして色を塗っていけば分かりやすいし、視覚的にもイメージしやすくなります。
この段階で、ページごとの色のバランスや組み合わせに違和感がないか等も確認しておくと〇。
絵本制作工程④:要素に合わせた色を混色して色見本を作る

次は、絵本作りの準備の中でも一番重要ともいえる「色づくり」へ。
・メインキャラクター
・サブキャラクター
・木や空の背景
等を含めた『絵本に出てくる要素の全て』の色味を絵具で実際に作ってみたうえで、各色の構成を1つずつメモしていく・・・という超絶地味な作業に取り掛かります。
私は絵具の混色が大の苦手。何のお手本もないままに、自分がイメージした通りの色をバシッと作ることが出来ません。
どの色をどれくらいの配分で混ぜれば〇〇っぽい色になる、というのをある程度メモしておかないと、気に入った色を再現するのにものすごく時間がかかってしまうんです。
特に、絵本は1枚絵とは違って登場人物は全ページ同じ色になってないとおかしいですよね。だからこそ、しっかりと使いたい色をちゃんと再現できるよう、予め色の構成を自分で把握&メモしておかないと!

メインキャラであるビーバーの色は茶色系なので、自分で作ったカラー見本を見ながら一番近い色になるように、何度も混色をしながらしっくりくる色を探していきました。
「むむ、白が多すぎたからもう少し暗くするか・・・」
「ひえっ、足し過ぎて真っ黒になってしまった!」
「微妙に明るいからちょいと焦げ茶を足して・・・うーん、なんか違うな・・・」
大抵の場合、絵具1色のみを使ってイメージ通りの色になるということはまずないので、最低でも2~3色は混ぜないといけません。
ちょっとの差で色が変わってしまうため、濃度も彩度も微調整に微調整を重ねて何回も何回も作り直してようやく納得のいく色になるかな?という感じ。


空の色や木の色等も全て同じ作業をします。正直かなり骨が折れる作業ですが、端折ると後で苦労するので、時間はかかりますが地道に準備を整えていきます。何事も急がば回れですね。
絵本制作工程④:使用する画用紙を選んで絵の大きさにカット

絵本で使用する色を全部決めたらいよいよ本描きの準備。まずは画用紙選びから。
今回はアクリル絵の具を使うので発色のいい画用紙がいいなと思い、アクリルデネブという紙をチョイスすることに。結構厚みがあるので、これを1枚ずつペーパーナイフで切り離して使っていきます。
実際に描くサイズよりも画用紙のサイズが大きいので、絵を描く領域を分かりやすくするためシャーペンなど使って目安線を引いておくと〇。
判型ぴったりサイズに描くよりも、少し大きめにスペースをとっておいて、余分に色を載せておくと印刷の際も何かと安心です。
絵本制作工程⑤:水張り

全ての紙に線画をトレースしたらいよいよ着彩の準備開始!まずは水張りをしていきます。

水張り用の板を用意して、そこに余白が均等になるようにある程度四隅の位置を合わせた後で本番用の画用紙を置きます。

ここでマスキングテープの出番。1枚の画用紙につきマスキングテープを4本用意し、1本につき画用紙の縦横幅より1~2㎝長めにカット。それを紙の枚数分切っておきます。
水を含ませた太目の筆でマスキングテープ全体に水をつけたら、丁度画用紙と板の配分が1:1になるようにテープを端から端までビシッと貼り付けます。

これで水張りの完成。絵具を塗って画用紙がビシャビシャになっても、水張りをしていれば用紙がシナシナにならずに済みますよ。
絵本制作工程⑥:背景を一気にまとめ塗り

水張りが終わったら、ここからはいよいよ本格的な着彩開始!まずは背景を一気にまとめて16枚分塗ってしまいます。
背景の色を作る

背景は全て空をイメージした水色で塗りつぶす予定なので、『空の色』を作ったら、その勢いでガーっと太めの筆を使って全面を水色で塗りつぶします。
この時、背景の色は最初に大量に作っておくのがコツ。
まとめ塗りする時、途中で絵の具がなくなると
・かすれやムラの原因になる
・後から同じ色を作ろうとしても完璧に再現できない
・元の色と最初に塗った色とのバランスをとるのが難しい
といった問題が発生してしまうので、作りすぎかな?というくらい作っておくのが安心。
ちなみに、白色は背景色に限らずよく使うので予備のチューブを用意しておくべし。
本番用の画用紙に塗る前に、一度別の紙に試し塗りしておくと思わぬ失敗を防げます。ここで色の濃さや水加減を調整し、実際のイメージを掴んで納得できれば本番へGO!
背景の空の色を1度塗り

最初は背景の一度塗りから。大きめの刷毛のような筆を使って横に行ったり来たりさせながら背景をザーッと塗っていきます。
全体に隙間なく絵の具を塗ることを意識し、ムラが出来たら上からなぞってムラを消して均一に整えていきます。
筆を同じ方向に動かすことで塗り漏れも防げますよ。1枚塗り終えたら次の用紙に移って、この調子でまずは16枚分塗っていきま~す。
背景の空の色を2度塗り

1度塗り終了!!しかし、まだまだ色が薄いので、ドライヤーでしっかり乾燥させた後に再度色を重ねていきます。
合計で3度塗りくらいすれば、全体的にムラもなく濃度の差も出ずに均一な色味に仕上がる・・・はず。私はこの作業で丸一日使いました(笑)
絵本制作工程⑦:背景を塗った画用紙に下絵を転写

背景を塗り終えて絵具が完全に乾ききったら、今度は下絵のコピーを使って紙に転写していく作業に入ります。
まずは、事前に印刷しておいた下絵の裏面を濃い鉛筆で塗りつぶします。そのあとティッシュでぼかして鉛筆の粉全体が馴染むように広げていきます。特に線画が書いてある部分は念入りに。
全ての裏面を鉛筆で塗りつぶしたら、今度はひっくり返して絵が描いてある面を表にして、背景を塗った画用紙に重ねます。

自分が実際に描きたい位置に下絵のコピーを配置したら、セロハンテープで四隅を留めてしっかり固定。
赤いボールペン等で強めに線画の部分をなぞっていけば、なぞった部分が転写されるという仕組みです(カーボン紙と同じですね)。
非常にアナログな手法ですが、これもまた「絵を作ってる感」があって楽しかったりして。

さて、全部なぞり終えたら下絵を外してみましょう。すると・・・あら不思議。見事、背景を塗ったキャンパス(画用紙)にちゃんと線画だけが転写されているじゃあーりませんか!
一応セロハンテープを外してちゃんと転写されているかを確認し、もし線が薄い箇所があれば再度上からなぞって修正。
これをイラストの枚数分やって下絵の転写まで完了させます。
表紙に関しては、タイトルを後からデータで作るのか?手書きで作るのか?決めかねていたのですが、一応手描きバージョンの下絵にしてみました。
絵本制作工程⑧:着彩・背景とベース

下絵の転写が終わったらいよいよメインの作業に突入。個別の要素を1つずつ塗っていきますよ。
恐らく長い長い闘い(?)になるかと思いますが、諦めずに全部塗り終えて完了させるぞ!と意気込むこと山の如し。
枚数が大量にあるので、まずは絵のどの部分を塗っていくかを考えてしっかり段取りを組むところからスタート。

空を塗った後は
木の葉っぱ⇒木の幹⇒原っぱや地面⇒キャラクター⇒小物
という工程で、まずは土台となるベース色をそれぞれの要素ごとに作って塗っていくことにしましょう。
この順番なら後で細かいディティールを塗る際に色を調整しやすいですし、アクリル絵の具は上から色をどんどん被せて行けるから修正も容易・・・なハズ(ドキドキ)。

後で陰影をつけたり、ハイライトをつけたりして立体感を出したいので、ベース塗りはしっかりと。ここはいわば、家作りにおける土台のような役割を果たしています。

ちなみに、ベース色を塗る際は地面や木の部分といった、紙面上で占める面積が大きいもの&キャラクターよりも物理的に下にあるものから塗っていくと後が楽。
・一番登場回数が多い箇所やエリア優先
・面積が大きいところ(特に背景)から塗っていく
・構成的に下になる要素から塗っていく
ことを意識すると効率化できますよ。

空の色を塗った時と同じように、ベースを塗る際は1つの要素を全てのページ分ババっと塗り切ってしまうのがコツ。
ビーバーとビーすけを茶色で塗るなら、そのまま全ページ分のビーバーとビーすけを漏れなく塗ってしまう、というイメージですね。

今日はビーすけ、明日は原っぱとランダムに塗ったり、日を置いてから作業を再開すると途中で微妙に色が変わってしまうことがあり、修正や色作りに手間取ってしまいます。

ゆえに、出来るだけ同じ要素はその日のうちにやってしまおうという作戦です。各要素ごとに塗っていけばその日使う絵具もそれだけで済むので、絵の具の節約にもなりますしねん。
木や地面や草むらは他のページにも沢山出てくるので、木の生い茂った葉っぱ部分の緑色を塗り終えるだけでも数時間かかってしまいました笑

背景要素のベース色を塗り終えたら、次はこれらの色に同系色で少し暗めの色を足して陰影をつけていきます。

ベースの色よりも暗めの色を作って、奥行きを出したい部分に塗っていくことで少しずつイラストに立体感が出て来ました。

木の茂みのモコモコした部分にも陰をつけてメリハリを出していきます。


茂みの陰影をある程度つけたら、葉っぱの葉脈部分の線を引いて、徐々に雰囲気を出していきますよ~。
絵本制作工程⑨:着彩・キャラクターの書き込み

森の描き込み部分まで終わったら、いよいよメインキャラクターのビーバーとビーすけの着彩作業に入ります。
土台となる基本色で塗った後、
①ベース色よりワントーン暗めの色を作る
②陰となる部分においていく
③陰を塗ったら今度はベース色よりも少し明るい色を作る
④明るい部分(ハイライト)に塗っていく
・・・ここまでが1度塗りという感じでしょうか。この工程を3回くらい繰り返すとかなり立体感が出て来ます。

ベースだけだとのっぺりとしたベタ塗り感が強めの印象になるので、メリハリを出すために陰やハイライトを入れていきます。ただし、1度塗りで終わってしまうとまだまだ質感的には物足りない感じ。

なので、ベース⇒陰影⇒ハイライトという工程を3回くらい繰り返すことで、絵に厚みが出て絵本ぽい仕上がりになるかな?と思っています(自分比)。

メインの身体(胴体)を塗り終えたら、そこから先は細部の描き込みへと移ります。しっぽの模様を描いたり、鼻やヒゲを付け加えたり。
特にビーバーとビーすけはキャラクターのデザイン上、目がないためヒゲと口で表情や感情を表現しているから手を抜けません。ヒゲは1本1本気合を入れて、ミスしないように慎重に慎重に書き足しました笑
絵本制作工程⑩:サブキャラクターの描き込み

ビーバーとビーすけの後は、物語に登場するサブキャラ達の描き込みに入ります。タイトルからも分かる通り、『ムシムシ王国のぼうけん』は夏のお話です。
作中ではカブトムシやクワガタムシ、チョウチョウやトンボといった昆虫が沢山出て来るので、彼らにもちゃんと色を付けてあげなければ!
まずはビーバーとビーすけの時と同じように、それぞれキャラごとに基本となるベース色を塗った後で1体ずつ陰影をつけ、その後にハイライトを塗る・・・という工程を最低でも3回は繰り返します。
重ね塗りをすることで徐々に立体感や存在感が出て、絵に深みが増していきます。

個人的に子供の頃からクワガタとカブトムシは大好きだったので、メインキャラのビーバーとビーすけと同じくらい気合を入れて塗っていきました。1匹1匹愛情を込めて丁寧に丁寧に仕上げます。
ちなみに、私の中で『キャラの目玉は一番最後に塗る』という謎の掟(?)というかマイルールがあったりします。目はキャラクターの表情や感情、性格を一番ダイレクトに表す部分。
ただの黒い斑点だったとしても、ほんの1mm位置がズレるだけでかなり印象が変わってしまいます。
どれくらいの大きさで顔のどの位置に配置するのか?
それによって、キャラの個性が輝くか台無しになるかが決まってしまうため、慎重に慎重を重ねて描いていく必要があります。
どんなに体や装飾的な部分を描き込んでも、最後の最後で目が上手く描けなかったらそのイラストは失敗!というくらいに目は重要な要素。
目を描く=キャラに命を吹き込む作業
と言っても過言ではないので、絶対に手抜きや片手間での作業はNGです。
最終的な絵の善し悪しを決定する要素は目をいかにバシッと決められるか?にかかっているのであります、隊長!!(誰)
絵本制作工程⑪:細部の描き込みと修正
・・・とまぁ、サブキャラの描き込み部分まではなんとか終わりました。
ここまでの段階で、背景やメインキャラ、サブキャラといった作品を構成する要素は全般的に塗り終えた感じです。お次は細部の描き込み作業へと移っていきます。
仕上げ段階で1枚1枚の絵を見た時に、
・色が薄い部分
・周りとの対比があまりなくぼやけてしまっている部分
・もう少しメリハリをつけたいなと思う部分
など、自分の中で気になる箇所がどうしても出て来てしまいます。
それを1つずつ修正&細かく描き込んでいくわけですが、この工程がある意味一番時間がかかるかも知れません。
とにかく、あちらを立てればこちらが立たず・・・ではないですが、1つ直すとそれに付随してまた直さなければいけない部分が出てきたり、さらに気になる箇所が目に付いたりして終わりが見えません。
もう少し陰影をつけたい
もう少しキャラを目立たせたい
羽の模様をもっとハッキリ出したい
と、次から次へと粗が出てきてキリがない!

いつになったら完成にするんだ・・・と先の見えない作業に少しだけ気分が滅入ってしまい、スランプに陥ってやる気がなくなり、しばらく描くのを止めて放置したりしたこともありました。
だけど、数か月単位で時間の間隔を空けて再度絵を見直すことで、その時は気付けなかった点や新たな発見があったりもするのでこれもまた絵の完成には必要な工程なのかも知れませんね。

その点で言えば、草むらは土壇場になって急遽大幅に修正を加えた箇所として自分の中でもかなり思い入れが強い部分でしたね。
最初は子供向けにデフォルメしたシンプルな草むらだったのですが、メインキャラやサブキャラ、木等の描き込みをある程度終えた時に、草むらだけやたら簡素な感じになってしまい、紙面上でのアンバランスさが目立ちました。
そこで、もっとリアル感や重厚感(?)を出すため大幅に修正を加えることに。

草むら全体に暗めの緑で陰影をつけたうえで、そこからさらに違う緑を何色か重ねていく・・・という作業をしたところ、イメージ通りの見た目に大変身!
最初、あまりにも大胆に修正してしまったので
「うげげ、この期に及んでもしかして大失敗しちゃったか…!?」
と大焦り&ヒヤッとしたのは内緒です笑
絵本制作工程⑫:表紙とタイトル文字入れ

細部の描き込みと最終的な修正や微調整を行い、これでほぼ全ページのイラストが仕上がりました。いよいよ最終段階、絵本の表紙のイラストを完成させていきます。
表紙も他の絵と同様に、
基本のベース塗り⇒陰影をつける⇒ハイライトを足す⇒3回くらい重ね塗り⇒細部の描き込みと修正
というステップを踏みつつ、何度も何度も見直しをして修正を繰り返し、完成直前までこぎつけました。
最後の仕上げはタイトルの着彩です。『ムシムシ王国のぼうけん』という文字を優しい雰囲気のピンク色で塗っていきます。
タイトルの入った表紙ページはいわば絵本の顔となるページ。表紙の第一印象でその作品から受けるイメージが決まってしまうので、ここは細心の注意を払って作業せねば!

はみ出したりしないように慎重に慎重に輪郭線を塗り潰し、時間をかけて繊細に筆を動かしていきます。ミスしないようにあえて細めの筆で少しずつ塗っていきました。
指がプルプル震えて筆先がブレたりしないよう、時には息を止めながらやってみたり・・・笑

1文字塗り終える度に「フーッ」と息を吐いて、再びまた筆を動かし文字の隙間を埋めていく作業はとてつもない緊張感が漂います。気分はまるで書道の試験笑

最後に少し濃いめのピンクで陰影をつけて完成!タイトルに色が入ると一気に絵本感が出てきて、作品自体に命が吹き込まれたような感覚に。
イラストを1枚ずつ仕上げていく段階ではあまり実感が湧かないけれど、表紙を作り終えた時に
「これが絵本になるんだ!1つの作品になるんだ!」
という興奮やワクワク感、謎の感動が押し寄せてきます。
絵本制作工程⑬:トビラ絵の制作

さぁ、いよいよゴール間近!表紙のタイトルの文字を着彩するところまで終わりました。・・・と思いきや、ここで私はとある重大なミスに気付いてしまいます。
絵本の表紙をめくった後に、タイトルと著者名が入る『トビラ』と呼ばれるページの絵を描いていない!ということに・・・。
トビラに使うイラストの線画だけは既に画用紙に直接転写していたのですが、本文のイラストを作るのに必死すぎてその存在自体をすっかり忘れていたのです。

これはいかん!とばかりにすぐに色塗りに取り掛かります。幸い、トビラ絵なのでキャラクターだけ、しかも後ろ姿のみなので比較的凝ったイラストではなかったのが救いでした。
トビラの絵はなきゃないで問題はないのですが、やはりあった方がより作品の雰囲気や世界観を伝えられるので自分としては是非描いておきたいところ。
これまでの経験を駆使して(?)、意外とスムーズに塗り終えられて安心しました。
絵本制作工程⑭:イラストが完成

さぁ、これにて全てのイラストが完成しました!いや~、本当に長かった・・・!!
実際に絵本を作ろうと思い立ち、絵コンテ作りから開始して原画が全て完成するまで、なんと実に10カ月もの期間(本の形になるまでには1年半)がかかっています。・・・そう考えると、何とも言えない感慨深さがありますね。

元々線画を描くのが好きだった自分が苦手なカラーイラストに挑戦。
途中でスランプに陥ったこともありましたが、最初から最後までトビラ絵含め計17枚のイラストをアクリル絵の具を使って『ちゃんと全て描き切った』という事実は、自分の中で大きな自信に繫がりました。

時間はかかったけれど、最後の1枚を描き終えた時、得も言われぬ達成感を感じてグッときてしまったのは内緒です(笑)
『絵をちゃんと完成させる』
これは作品作りにおいてとても大事なこと。
どこまでこだわるのか、どこで終わらせるのか?
ここで打ち止め、というポイントを決めておかないといつまで経っても終わらないし、極端な話、修正に修正を加えて延々と描き続けることだってできますからね。
この絵はこれでおしまい、そう自分の中で言い切れる覚悟や決断をすることもまた絵描きにとっての勇気と言えるでしょう。
作品を終わらせるまでが作業である、と言っていいかも知れません。
絵本制作工程⑮:水張り板から原画を取り外す(カッターで切る)

ようやく全ての原画を描き終えたので、ここからは水張りしたイラストをカッターで1枚ずつ取り外していく作業に入ります。
定規を使ってまっすぐなラインをキープしたら、そこにカッターを沿わせてスーッと切れ目を入れて画用紙を剥がしていきますよ~。
間違って切りすぎたり、切れ目を入れる時に斜めになってしまわないよう、これも慎重に作業をしていくのがミスしないコツ。
原画のサイズ自体はA4サイズに設定しているので、たまにちゃんとサイズに合っているかを確認しながら切っていきます。

よしよし、全部取り外しました。

カットした原画は、後で保護シートに入れたり額縁に入れて壁に飾ることもできます。まずはこれらをスキャンしてデータ化し、編集用の画像データを作っていきましょう。ちなみに、スキャンはキンコーズで行いました。
絵本制作工程⑯:編集作業

さて、ここからはデジタルな作業です。原画データをCanvaという編集ツールで絵本の紙面構成に合わせて配置して、ページごとに物語のテキストを打ち込んでいきます。

編集作業自体は第1作目のあやしいサーカスの時と全く同じですね。フォントや行間も自分のお好みでチョイスして、17枚の絵を最も活かせる形へと編集し、絵本の体裁に整えます。
データが出来たらいざkindleストアにアップロード!しかし、やはり例のごとくエラーが出て再提出を喰らうこと数回。多分7~8回はやり直したかも知れません。
それでも最後は無事に審査に通って、販売まで辿り着くことが出来ました!これでようやく第2作目の絵本作りも本当の意味で終了です!自分、お疲れ様!!
まとめ・手描きの絵本制作は自分自身と向き合うことだった

さーて、そんなこんなでムシムシ王国のぼうけんの原画作りをメイキング風に紹介させていただきました!
アナログ絵で絵本を作るとなると、結構細々とした地味な作業が多いので「えっ、こんなに面倒くさいの??」と記事を読んで驚いた人もいるかも知れませんね。
私自身も原画完成までに結局1年近くかかってしまいました。
細かい書き込みにこだわったり、途中でスランプに陥って絵を放置したりと完成までには紆余曲折あり、なかなか一筋縄ではいかなかったですね・・・。
ある意味、自分のやる気と根性と忍耐力とメンタルとの闘いだったかも・・・。
でも、その分完成した時の喜びはひとしおでしたし、念願叶って自分の描いた絵が絵本になるという現実に触れた時は本当に本当に嬉しかったです。

そんな泥臭い努力の末に作った、まさに血と汗と涙の(?)結晶をあなたに読んでいただけたら最高に幸せです。
是非、紅茶やコーヒー片手にビーバーとビーすけの素朴で温かい夏物語を味わってみて下さい♪
🐝今回ご紹介した工程を経て、命が宿った完成版絵本はこちら

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