こんにちは、姉妹創作作家・クリエイターのふるもーすです!
今回は、kindle紀行エッセイ『姉妹で旅する世界エッセイ ルーマニア編4 カロタセグ地方と白壁の村──刺繍とハンガリーの記憶を歩く旅』のセルフライナーノーツを書いていきたいと思います。
ルーマニア北西部、トランシルヴァニア地方の一角に、ひっそりと「ハンガリーの面影を残す場所」があります。それが、今回ご紹介するカロタセグ地方。

『姉妹で旅する世界エッセイ ルーマニア編4』では、白壁の家々が並ぶ村々を歩き、この地に代々伝わる緻密な刺繍「イーラショシュ」や、独自の色彩感覚が息づく暮らしに光を当てました。
同じルーマニアでありながら、マラムレシュとは全く異なる空気感。なぜ彼らは独自の文化をこれほどまでに大切に守り続けているのか?
この記事では、本編に込めた「民族のアイデンティティ」への想いや、取材中に目にした息を呑むほど美しい手仕事の裏話などを、セルフライナーノーツとしてお届けします。
自分にとってルーマニアエッセイ4巻はどんな巻になった?

4巻では、ルーマニアの中にあるハンガリー文化に注目し、
・メゼーシェーグ地方のシク村
・ハンガリー文化が息づくリメテア
・鮮やかな民族衣装で有名なメラ
・元国境の町サンクライウ
といったトランシルヴァニアのハンガリー人の村を訪れ、そこで起きたエピソードや体験談等を内省的に語っています。
ルーマニアのもう一つの顔に触れる旅、というのがこの巻を通して伝えたかったテーマですね。
隠された歴史の痛みを知ることで、自分自身の無知に気づかされたり、そこで暮らしている人々に複雑な感情や違和感を抱いたり。旅の最中、そんな風にハッとする瞬間が実際に何度もありました。
期待して訪れた土地が想像とは違っていて、そこで感じた戸惑いや生まれた疑問を少しずつ自分の中で受け止めていく・・・こうしたネガティブな視点も等身大の言葉で綴っています。
牧歌的なマラムレシュ編とは違い、全体的に内省的かつ個人の思いを吐露するシーンが多く、シリーズの中でも比較的シリアスな雰囲気の1冊になったような気がします。
旅を通して自分の内面を見つめ直したり、心の成長を促された感覚もあったりして、それらを改めて読書という形で読んだ人に疑似体験してもらえたらいいなと。
色々な意味で考えさせられる巻になったかなと思います。
ルーマニアエッセイ4巻でこだわった点・お気に入りポイント

4巻では、嫌な思い出、大変だった出来事をどう消化していくか?にもフォーカスしました。
旅って楽しいだけじゃない。思い通りにならないことも多いし、度々起こる辛い出来事やハプニング、タイミングのずれ、旅中に目の当たりにした現実やギャップといったものに自分自身がどう向き合うのか?
こういった「旅の洗礼」や「旅と向き合う姿勢」についても作品の中で言及しています。
特にメラ編での残念な結末、一連のトラブルを経て自分の気持ちがどう変化していったか?についての心理描写は結構こだわって書いてみました。
サンクライウのおじいさんの語りのシーンと宿の夕食の一幕も、この巻のテーマがよく出ているという意味で、自分としては気に入っていて、カロタセグ編のハイライトになったんじゃないかなーなんて思っています。
4巻で大変だった点

マラムレシュ編と同様にカロタセグ地方(&メゼーシェーグ地方)編も語りたいエピソードが多かったので、どれを取捨選択するかが難しかったですね~。
地元の人々の何気ない会話の端々や、旅中の自分の感情や内なる声との対話などを含め、この地域が抱える複雑さと陰のようなものをうまく表現したいという想いもあったり・・・。
楽しいだけではない旅の現実を伝えようとした結果、いざ執筆するとなったら四苦八苦することに。
ちなみに、アイウド駅での鉄道待ちで起こった珍事件については原稿完成後に丸々加筆した部分です。正直、最初は端折ろうかなと思ったけれど、これも不快ではあったものの旅の一つの出来事だしなーということで、後から追加することにしました。
多分、動画ではこのエピソードは出さないと思いますね苦笑
4巻は個人旅行のほろ苦さがよく出たエピソードが他の巻よりも多めなので、より旅のリアル感が出た内容になったかなと思います。
ルーマニア編4巻の表紙写真と選定理由

続いて、表紙制作についてのあれこも語っていきたいと思います。
今回表紙に選んだのは民族衣装を着た男女のツーショット。ハンガリー文化が残るシク村での一幕です。
民族衣装に身を包んだ男女の晴れ姿が本当に美しくて華やかだったので、写真を見た瞬間「これにしよう!」とほぼ即決でした。
ルーマニア編では比較的建物の写真を使った表紙が多かったので、この辺で人物をばばーんと載せた写真を使いたかったんですよね。
しかも丁度縦長の表紙にもぴったりの構図だったので迷う理由がありませんでした。
・ハンガリー系の伝統を象徴する鮮やかな赤と青の衣装が読者の目を惹く
・男女で踊るシーンの躍動感が旅先の出会いや文化との触れ合いといったテーマ性にマッチ
さらにマラムレシュとは異なるデザインが「やっぱりここはルーマニアとは違うハンガリー文化が根付いている地域なんだ」ということを読者に感じさせてくれる点も◎。
木造の建物、花、車輪などがルーマニアの田舎の雰囲気を伝え、旅情とノスタルジーを醸し出し、素朴な村の暮らし感も出ています。
「刺繍文化 × 人との交流 × 郷愁」を体現する1枚なので、個人的には結構お気に入り。
デザイン裏話

今回は写真がかなり目立つので、タイトルもあえて中央寄せに配置してみました。これがまたいい具合におしゃれなデザインになったので、大正解だったかなと自分で自画自賛!
サブタイトルも中央寄せにして、フォントは白で文字をハッキリさせるためにシャドウを入れ、背景に透過させたブラックのブロックを配置。これで視認性も多少高まったかなと。
4巻は写真集ぽい感じの表紙になったなーなんて勝手に思っているんですが、どんなもんでしょうか?
ちなみに、今回はこのシク村の男女ペア写真が表紙候補一択だったのでボツ案はナシ!本当に即決でしたね。
4巻の裏表紙

4巻の裏表紙にもってきたのは夕日に照らされたリメテアの美しい街並み。
白い壁に赤い屋根の家々が等間隔に並ぶさまが可愛らしく、「ハンガリー風の村ってこんな感じなんだよ~」というイメージを伝えたかったので、このチョイスにしてみました。

民族衣装にしても家の造りにしても、やはりマラムレシュとは異なる文化圏だということが写真でも伝わるのではないかと。
意外と街並みを載せている巻がなかったので、ここらで入れておこうかなという思いもあったりして。
写真で振り返るルーマニア紀行4巻・メゼーシェーグ地方シク村編

さて、ここからは旅行中に撮った豊富な写真とともにルーマニア編第4巻の内容をザザッと振り返りつつ、個人的な想いやエピソードを紹介していきたいと思います。
まずはメゼーシェーグ地方にあるシク村。ここではたまたまラッキーなことに村のダンスパーティーに参加することが出来ました。これは本当に偶然で最高の旅の思い出になりましたね。
シク村で泊まった宿を紹介!ハンガリー刺繍のイーラーショシュも♪

シク村で泊まったゲストハウス。部屋の内装や調度品のペイント等も全て宿のお母さんの手によるものらしく、ハンガリー人の器用さと手仕事の繊細さに圧倒されてしまいました。

お待ちかねのご飯タイム。夕飯も朝食も当たり前のようにハンガリー料理が出てきてます。

卵を使ってロール状に揚げた料理。見た目が伊達巻風。

ハンガリー料理といえばグヤーシュ。スパイシーな辛さが癖になります。グヤーシュが出てくるところがさすが。
ルーマニアにいるのに本当にハンガリーに来た気分・・・すごく不思議な感覚に陥ります。

ロール状のクレープにはジャムが挟んであって、これはデザートに丁度いい。


ハンガリーの伝統的な刺繍イーラーショシュ。これもお母さんが自分で作ったものだそう。
メゾーセーグ地方シク村観光記・民族衣装とハンガリー伝統舞踊

夕食のあとは軽くお散歩。とても静かなシク村をそぞろ歩いていると自分が今どこにいるのかわからなくなります。ここはルーマニア?それともハンガリー?

村をブラブラお散歩している途中で出会った眠そうな顔の猫。民家の塀や門は何故か緑色が多かったです。

偶然見つけたダンスパーティーの会場では、運がいいことにハンガリーのペアダンスを見ることが出来て大興奮。

可愛らしい村娘と素朴な青年たちが民族衣装をまとって踊る姿は、絵本の世界に出てきそうなほどのファンタジー感。流れていた音楽とこの夢のような光景がずっと目に焼き付いています。
ダンスパーティーの実際の様子や感じたこと等は本編の方で詳しく綴っていますので是非読んでみて下さい♪
写真で振り返るルーマニア紀行4巻・リメテア編

続いてはハンガリー文化が静かに根付く美しい街・リメテア。
とても可愛らしい外観の村としても有名で、白壁のフォトジェニックな家々が立ち並ぶ様はインスタ映え抜群。リメテアではルーマニア旅の疲れを癒すように何もしない休暇を楽しみました。
のんびりと過ごした2日間の出来事は本編の方で詳しく綴っています。
リメテアの宿でハンガリーの家庭料理をいただく

リメテアでは何故か2つの宿に泊まることに。これは2軒目の宿。

リメテアで食べた朝食。マラムレシュで食べたメニューとは全く異なるレパートリーが新鮮!

スパイシーだったり、塩気がルーマニア料理よりも強めだったりと、味付けからして全然違うからびっくり。やっぱりここはハンガリー文化圏なんだなぁと食を通して異文化を感じるのもまた一興ですね。

宿の女将さんが料理上手でどれもこれも美味しくいただきました。ハンガリーの家庭料理を思う存分堪能できて大満足。
ハンガリー文化が残るリメテアを観光!お土産も購入

リメテアは町全体が可愛らしくてのんびりした空気が漂っていて、何も考えずにブラブラしているだけでも楽しかったです。こちらはお土産屋さん。

ハンガリー語でトロッコという名前を持つリメテア。記念にトロッコと書かれた布でできた栞をゲットしました。


リメテアで立ち寄ったカフェでシナモン風味のブレッドをいただくの巻。
写真で振り返るトランシルヴァニアのハンガリー人村・メラ観光記

お次はフォークロアで有名なメラ村。
ここではまさに弱り目に祟り目を地で行くような展開が立て続けに起こって、残念な気持ちやイライラといった感情に苛まれました。
色々な意味で旅の厳しさに直面させられたというか、旅というものについて深く考えさせられましたね。

実は、この村に辿り着くまでにはかなりの苦労があったんです。そのドラマ含めてメラ村での一連のエピソードは自分の中で印象深いものがありました。
メラ村に到着してからも妙なトラブルやハプニングに遭遇しまくりで、心身ともに疲労困憊、満身創痍な状態だったけど、良くも悪くもその分濃い思い出が作れたような気がします。
是非本編でそのトホホな顛末とリアルなドラマをご覧いただければ。
美しいハンガリーの民族衣装を求めてメラの日曜礼拝へ

メラ村に来た目的の1つは日曜礼拝に参加すること。マラムレシュの時と同じように、私たちは民族衣装姿の住人を拝むためいそいそと村の教会へと向かいます。




ここでもやはりイーラーショシュで装飾された布が使われていました。
メラ村周辺で食べた食事や出会った人々

ちなみにこの写真は中継地アイウドで偶然出会ったやんちゃな少年たち。私たちが日本人だとわかると何故かジュースをおごってくれました。いかつい見た目とは裏腹に優しい・・・。

メラ村周辺に滞在していた時に立ち寄ったレストランで食べたパンシチュー。見た目のわりに味はイマイチ。

ホテル併設のレストランで食べたブランチ。ルーマニア料理とハンガリー料理の折衷って感じのメニューでした。
写真で振り返るルーマニア紀行4巻・国境の町サンクライウ編

カロタセグ編最後に訪れた村は元国境の村・サンクライウ。ここでは歴史の重みと痛みを存分に感じ、シリアスで複雑な感情に包まれました。
街並み自体はとても可愛いのに、この村の住人たちが抱える誇りと決意はとても熱いものがあって、そのギャップに旅人としてやられた感じがします。
この町のエピソードも結構ハッとするような内面の深い部分を描いているので、是非読んでいただけると嬉しいです。
サンクライウで宿泊したゲストハウスでハンガリー家庭料理を味わう

サンクライウで泊まった宿もまた外観も内装も可愛らしくて女性好みでした。

チャキチャキしたオーナーの奥様があれこれ世話を焼いてくれます。

歓迎のホリンカでまずは乾杯。

ここのお母さんも本当に料理上手で、美味しいハンガリー料理が次から次へと出てきて胃袋が大喜び。


庭のガゼボで食べる朝食は外の爽やかな空気を思う存分味わえて、朝から気分よく過ごせます。

ハーブがたっぷり入ったお茶を飲みながらしばしのティータイム。

手作りのディップをパンにつけて食べると元気がモリモリ湧いてきます。
サンクライウ観光と街歩き♪ハンガリー人の誇りが息づく町

サンクライウはとにかく町全体が可愛らしくて、歩いているだけで楽しかったです。至る所に花が咲いていて、カラフルでメルヘンな雰囲気が漂っているというか。

民家の前に立っている立派な門もマラムレシュとはまた違った雰囲気。シク村でもメラ村でもそうだったけど、このチューリップ模様が何の意味を表しているのかが地味に気になります。

散歩途中で立ち寄ったジェラート屋さんが美味しすぎて感動。ここで出会ったおじいさんから衝撃的な話を聞いたエピソードはこの巻の中で最も気が引き締まるシリアスなシーンとなりました。
歴史と文化について深く考えさせられた一幕で、これも是非本編を読んで実際に何か感じていただければ。
おわりに
さーて、そんなわけで『姉妹で旅する世界エッセイ ルーマニア編4カロタセグ地方と白壁の村──刺繍とハンガリーの記憶を歩く旅』のセルフライナーノーツを書かせていただきました!
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
今回のブログ記事では写真を中心に旅の輪郭をなぞりましたが、Kindle本『姉妹で旅する世界エッセイ ルーマニア編4』の中には、写真だけでは切り取れなかった「街の匂い」や、その時々の「私の心の独白」をさらに濃密に閉じ込めています。
「その刺繍は、まるで一編の詩のようでした」
複雑な歴史の中で守り抜かれた、カロタセグ地方の誇り高き美しさ。ガイドブックには載っていない、村の細い路地の先に広がる光景を、ぜひ本書で一緒に歩いてみませんか?
本編では、旅の途中で出会った貴重な刺繍のディテールや、村人たちの語りも詳しく綴っています。
